共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問139 (生物(第3問) 問4)

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問題

共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問139(生物(第3問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読み、後の問いに答えよ。

多くの動物の卵では、受精すると(a)小胞体に蓄えられているCa2+が放出され、卵の細胞質基質のCa2+濃度が一時的に上昇する。これをCa2+波と呼ぶ。Ca2+波は、受精膜の形成や、卵が発生するために必要な様々な代謝系の活性化(以下、卵の活性化)に必要である。
(b)両生類のイモリや哺乳類のマウス(c)体内受精を行い、受精の際に卵内に進入する精子の細胞質基質のタンパク質によって、Ca2+波が誘起される。イモリでは、(d)精子の細胞質基質に存在する酵素Xが、卵内でCa2+波を誘起することが明らかとなっている。酵素Xは次に示す反応を触媒する酵素で、通常はミトコンドリアにおいてクエン酸を生成しているが、逆方向の反応の触媒も可能である。

下線部(d)について、Ca2+波の誘起における酵素Xの働きを調べるため、イモリを用いて実験1〜5を行った。実験1〜5の結果から導かれる、Ca2+波の誘起における酵素Xの働きに関する考察として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

実験1  酵素Xを未受精卵に注入したところ、Ca2+波がみられた。
実験2  酵素Xの阻害剤Aをあらかじめ未受精卵に添加してから酵素Xを注入したところ、Ca2+波はみられなかった。
実験3  精子の細胞質基質の成分を分析したところ、クエン酸が大量に含まれていた。
実験4  未受精卵にクエン酸を注入したところ、Ca2+波はみられなかった。
実験5  未受精卵にアセチルCoAを注入したところ、Ca2+波がみられた。
問題文の画像
  • ミトコンドリアにおける呼吸を活性化し、ATPの合成量を増加させることでCa2+波を誘起する。
  • 卵内でクエン酸の生成を活性化し、生成されたクエン酸がCa2+波を誘起する。
  • 卵内でアセチルCoAの生成を活性化し、生成されたアセチルCoAがCa2+波を誘起する。
  • 卵内でオキサロ酢酸の生成を活性化し、生成されたオキサロ酢酸がCa2+波を誘起する。

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この過去問の解説 (3件)

01

まず反応の流れ・概要を理解します。
実験1,5より、Ca2+波の発生に、酵素X、アセチルCoAが寄与したとわかる。それは両方ある必要はなく、代替の効く関係かも……?と推測が立ちます。
また実験5の動きはルシャトリエの定理的に平衡を右に寄せたのだと化学的に理解できます。そして、本文の「通常においてクエン酸を生成」する酵素Xが「Ca2++波を誘起する」ということについて合点がいくようになります。
つまり、クエン酸を生成する右向きの反応の副産物(のようなもの)がCa2+波なのです。

ここで他の実験に触れると、実験4は実験5の逆でルシャトリエの定理で平衡が左に偏るため、クエン酸の副産物Ca2+波は起こりません。
実験2を見ましょう。酵素Xは反応の促進、手伝いをする触媒なはずなのに、それがないと反応が起きなくなったみたいです。また、実験3からそもそもクエン酸は多量に存在し、平衡は極端に左に寄っていそうです。

ということは、Ca2+波が起こるには実験5のように反応を右に促進するしかありません。
よって、酵素Xは左側の物質(オキサロ酢酸、アセチルCoA)のいずれかの生成に助力し、その増加があってCa2+波が起きていたと気づけます。

ここで既に選択肢は二つに絞れます。しかし、オキサロ酢酸によりCa2+波が起こるかは実験から得られたデータではないので、「卵内でアセチルCoAの生成を活性化し、生成されたアセチルCoAがCa2+波を誘起する。」が正答となります。

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02

問題文中実験を参照します。実験1,2は酵素Xを入れるとCa²⁺波があり、阻害すると起こらないことから酵素Xは必須であると読み取ることができます。

実験3,4は精子にクエン酸が多いこと、クエン酸を入れるとCa²⁺波はないことからクエン酸は原因ではないことが分かります。

実験5はアセチルCoAを入れるとCa²⁺波があることから、アセチルCoAが原因物質であることが分かります。

したがって、③が正しい選択肢となります。

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03

まず、実験1~5をまとめましょう。

実験1は、酵素Xを注入し、Ca2+波が発生した。

これによって、酵素XはCa2+波の発生に関わっていることが分かります。

実験2は、阻害剤Aと酵素Xを注入し、Ca2+波は発生しない。

阻害剤Aを使うとCa2+波は発生しないので、Ca2+波を発生させるには酵素Xが必須ということが分かります。

実験3は、生死の細胞質基質を分析し、クエン酸が大量に含まれていることが分かった。

実験4は、クエン酸を注入したが、Ca2+波は発生しなかった。

これによって、クエン酸そのものがCa2+波発生をさせる原因ではないことが分かりました。

実験5は、アセチルCoAを注入し、Ca2+波がみられた。

これによって、酵素XはアセチルCoAを活性化させている可能性があることが分かります。

 

 

 

選択肢1. ミトコンドリアにおける呼吸を活性化し、ATPの合成量を増加させることでCa2+波を誘起する。

ミトコンドリアが呼吸をすることで、ATPが増加させるのは、今回の実験1~5と直接的な関係がないので誤りとなります。

選択肢2. 卵内でクエン酸の生成を活性化し、生成されたクエン酸がCa2+波を誘起する。

実験4で、「クエン酸を注入したところ、Ca2+波はみられなかった」という結果が出ているので、この選択肢は誤りとなります。

選択肢3. 卵内でアセチルCoAの生成を活性化し、生成されたアセチルCoAがCa2+波を誘起する。

実験5によると、未受精卵にアセチルCoAを注入したところ、Ca2+波が発生しています。

これによって、アセチルCoAがCa2+波を誘起に関係していると考えられます。よって、この選択肢は正しいと言えます。

選択肢4. 卵内でオキサロ酢酸の生成を活性化し、生成されたオキサロ酢酸がCa2+波を誘起する。

実験1~5において、「卵内でオキサロ酢酸が生成され、Ca2+波を誘起する」という結果は出ていません。よって、この選択肢は実験データに基づいた考察ではないため、誤りとなります。

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