共通テスト(理科) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問123 (生物(第1問) 問3)
問題文
(a)真核生物の細胞内では、細胞小器官などの構造体がそれぞれ独自の働きをしている。細胞小器官の一つであるミトコンドリアは独自のDNAを持ち、DNAを複製しながら分裂を繰り返すことで、細胞内で増殖する。ミトコンドリアDNAに突然変異が生じた場合、塩基配列の異なるDNAを持つミトコンドリアが細胞内に混在することになる。また、哺乳類の受精卵においては、ミトコンドリアは全て卵から伝わるため、子のミトコンドリアは母親由来となる。
哺乳類の卵の形成過程において、細胞内のミトコンドリアの数が一時的に減少するという現象があることが知られている。(b)ミトコンドリアの数が一時的に減少し、残った少数のミトコンドリアが増殖することで、一つの卵の中のミトコンドリアDNAの塩基配列の多様性は、偶然の作用により失われやすくなる。この(c)卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少によって、結果的に、個体の生存に不利益をもたらすミトコンドリアが子孫に残りにくくなると考えられている。
下線部(b)について、卵の中に存在する個々のミトコンドリアを、集団中に存在する個体に置き換えて考えた場合、下線部(b)に相当する現象を引き起こす進化の仕組みとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問123(生物(第1問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
(a)真核生物の細胞内では、細胞小器官などの構造体がそれぞれ独自の働きをしている。細胞小器官の一つであるミトコンドリアは独自のDNAを持ち、DNAを複製しながら分裂を繰り返すことで、細胞内で増殖する。ミトコンドリアDNAに突然変異が生じた場合、塩基配列の異なるDNAを持つミトコンドリアが細胞内に混在することになる。また、哺乳類の受精卵においては、ミトコンドリアは全て卵から伝わるため、子のミトコンドリアは母親由来となる。
哺乳類の卵の形成過程において、細胞内のミトコンドリアの数が一時的に減少するという現象があることが知られている。(b)ミトコンドリアの数が一時的に減少し、残った少数のミトコンドリアが増殖することで、一つの卵の中のミトコンドリアDNAの塩基配列の多様性は、偶然の作用により失われやすくなる。この(c)卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少によって、結果的に、個体の生存に不利益をもたらすミトコンドリアが子孫に残りにくくなると考えられている。
下線部(b)について、卵の中に存在する個々のミトコンドリアを、集団中に存在する個体に置き換えて考えた場合、下線部(b)に相当する現象を引き起こす進化の仕組みとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 自然選択
- 遺伝的浮動
- 突然変異
- 他の集団からの対立遺伝子の流入
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題のキーワードは「偶然性」です。下線部bが何を示しているのかというと、「ミトコンドリアの数が減少することで、残るミトコンドリアDNAが偶然に左右されやすくなる」ということです。例えば、最初の集団中のミトコンドリアDNAがA型が80、B型が20あったと仮定します。その後ミトコンドリアが減少した際に残るDNAは8対2を維持する訳ではなく、A型が5、B型が0となったりA型が2、B型が3という割合になったりと、偶然によって変化します。この偶然性が当てはまる進化の仕組みを正しく選択できるかがポイントとなってきます。
この選択肢は誤りです。
「自然選択」とは、環境に対して有利な性質をもつ個体が多く生き残り、進化していく仕組みのことを指すため、偶然による進化とは異なります。
この選択肢は正しいです。
「遺伝的浮動」とは、生存に有利な性質であるかどうかは関係なく、偶然によって遺伝子の頻度が変化することを指します。よって、下線部bが示している偶然性による進化と言えます。
この選択肢は誤りです。
「突然変異」とはDNAの塩基配列そのものに変化が生じます。この問題では、新しい変化が起きるのではなく、すでに存在している遺伝子の種類の変化を示しているため、誤りと言えます。
この選択肢は誤りです。
「他の集団からの対立遺伝子の流入」とは外部から新しいミトコンドリアが流入してくる「遺伝子流動」であると考えられますが、この問題では一つの集団内での進化について問われているため、誤りと言えます。
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02
この問題は、卵の中でのミトコンドリアの遺伝的多様性が失われる現象と、集団の中での個体の遺伝的多様性が失われる現象を結び付けて、進化の仕組みについての知識を問う問題です。
不適です。
自然選択とは、環境に適した形質をもつ個体が生存・繁殖しやすくなり、その形質に関わる対立遺伝子の頻度が増加する進化の仕組みです。
下線部(b)では、ミトコンドリアDNAの多様性が偶然によって失われると説明されており、生存や繁殖に有利・不利という選択は関係していません。
したがって、この現象は自然選択ではありません。
正解です。
遺伝的浮動とは、個体数が少ない集団で、偶然によって対立遺伝子の頻度が変化する現象です。
下線部(b)では、一時的にミトコンドリアの数が減少し、残った少数のミトコンドリアだけが増殖することで、DNAの多様性が偶然によって失われています。
これは、集団中の個体数が一時的に減少し、その後少数の個体から集団が再び増えることで遺伝的多様性が失われる遺伝的浮動と同じ仕組みです。
したがって、この現象に最も適当なのは遺伝的浮動です。
不適です。
突然変異とは、DNAの塩基配列が変化し、新たな対立遺伝子が生じる現象です。
下線部(b)では、新しいミトコンドリアDNAが生じたのではなく、もともと存在していたミトコンドリアDNAの一部が偶然失われ、多様性が低下しています。
したがって、この現象は突然変異ではありません。
不適です。
他の集団からの対立遺伝子の流入(遺伝子流動)とは、他の集団から個体が移入し、新たな対立遺伝子が集団内に加わることで遺伝的多様性が変化する現象です。
下線部(b)では、外部から新たなミトコンドリアDNAが加わるのではなく、もともと存在していたミトコンドリアDNAが偶然失われています。
したがって、この現象は他の集団からの対立遺伝子の流入ではありません。
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