共通テスト(理科) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問124 (生物(第1問) 問4)
問題文
(a)真核生物の細胞内では、細胞小器官などの構造体がそれぞれ独自の働きをしている。細胞小器官の一つであるミトコンドリアは独自のDNAを持ち、DNAを複製しながら分裂を繰り返すことで、細胞内で増殖する。ミトコンドリアDNAに突然変異が生じた場合、塩基配列の異なるDNAを持つミトコンドリアが細胞内に混在することになる。また、哺乳類の受精卵においては、ミトコンドリアは全て卵から伝わるため、子のミトコンドリアは母親由来となる。
哺乳類の卵の形成過程において、細胞内のミトコンドリアの数が一時的に減少するという現象があることが知られている。(b)ミトコンドリアの数が一時的に減少し、残った少数のミトコンドリアが増殖することで、一つの卵の中のミトコンドリアDNAの塩基配列の多様性は、偶然の作用により失われやすくなる。この(c)卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少によって、結果的に、個体の生存に不利益をもたらすミトコンドリアが子孫に残りにくくなると考えられている。
下線部(c)に関連して、ミトコンドリアDNAには、ATPの合成において重要な機能を担う遺伝子がいくつか存在する。それらの遺伝子の突然変異によって、ATP合成機能の低下したミトコンドリアが生じることがある。次の記述a〜dのうち、卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少がある場合の推論として適当なものはどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
a 一時的な減少がない場合より、一つの卵の中のミトコンドリアが全て正常なミトコンドリアになる確率が高くなる。
b 一時的な減少がない場合より、一つの卵の中にATP合成機能の低下したミトコンドリアのみが残る確率が高くなる。
c 一時的な減少がない場合より、ATP合成機能の低下を引き起こすミトコンドリアDNAの突然変異が起こりやすくなる。
d 一時的な減少がない場合より、ATP合成機能の低下を正常に戻すようなミトコンドリアDNAの突然変異が起こりやすくなる。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問124(生物(第1問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
(a)真核生物の細胞内では、細胞小器官などの構造体がそれぞれ独自の働きをしている。細胞小器官の一つであるミトコンドリアは独自のDNAを持ち、DNAを複製しながら分裂を繰り返すことで、細胞内で増殖する。ミトコンドリアDNAに突然変異が生じた場合、塩基配列の異なるDNAを持つミトコンドリアが細胞内に混在することになる。また、哺乳類の受精卵においては、ミトコンドリアは全て卵から伝わるため、子のミトコンドリアは母親由来となる。
哺乳類の卵の形成過程において、細胞内のミトコンドリアの数が一時的に減少するという現象があることが知られている。(b)ミトコンドリアの数が一時的に減少し、残った少数のミトコンドリアが増殖することで、一つの卵の中のミトコンドリアDNAの塩基配列の多様性は、偶然の作用により失われやすくなる。この(c)卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少によって、結果的に、個体の生存に不利益をもたらすミトコンドリアが子孫に残りにくくなると考えられている。
下線部(c)に関連して、ミトコンドリアDNAには、ATPの合成において重要な機能を担う遺伝子がいくつか存在する。それらの遺伝子の突然変異によって、ATP合成機能の低下したミトコンドリアが生じることがある。次の記述a〜dのうち、卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少がある場合の推論として適当なものはどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
a 一時的な減少がない場合より、一つの卵の中のミトコンドリアが全て正常なミトコンドリアになる確率が高くなる。
b 一時的な減少がない場合より、一つの卵の中にATP合成機能の低下したミトコンドリアのみが残る確率が高くなる。
c 一時的な減少がない場合より、ATP合成機能の低下を引き起こすミトコンドリアDNAの突然変異が起こりやすくなる。
d 一時的な減少がない場合より、ATP合成機能の低下を正常に戻すようなミトコンドリアDNAの突然変異が起こりやすくなる。
- a、b
- a、c
- a、d
- b、c
- b、d
- c、d
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題でポイントとなるのは、「ミトコンドリアが一時的に減少すると、遺伝子の種類は偶然による偏りが大きくなる」という点です。偶然に偏るとは、有利な遺伝子が残る訳でもなく、遺伝子に新たに変異が起きる訳でもないということです。
この点をおさえて、選択肢を確認していきましょう。
aは正しいです。
ミトコンドリアの数が一時的に減少することで、偶然に全ての個体のATP合成機能が正常である場合が存在します。一時的な減少がない場合は、もとの集団内の遺伝子の割合が概ね維持される可能性が高いため、一時的に数が減少した方が、全て正常になる確率が高くなります。
bは正しいです。
aと相反する推論に見えるため、間違いであると思いがちですが、これもaと同じ理由で、偶然により全ての卵がATP合成機能の低下した卵になる確率が高くなると言えます。
cは誤りです。
ミトコンドリアの一時的な減少は、すでに存在するDNAの種類が変化する現象であるため、突然変異とは直接的には関係がありません。
dは誤りです。
これはcと同様の理由で、ミトコンドリアの一時的な減少は突然変異とは直接的には関係ありません。
この選択肢が正しいです。
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02
この問題は、ミトコンドリア遺伝子の突然変異によって、その後どうなっていくかを、卵形成過程におけるミトコンドリア数の一時的減少がある場合の推論として、適切なものを選ぶ問題です。
選択肢を見ると、aとb、cとdは互いに対応しているように見え、abから一つ、cdから一つを選んでしまいがちかもしれません。
今回は、その後の生存に有利不利は考えず、ミトコンドリア数の一時減少によって、その後のミトコンドリア内の遺伝子がどうなるかを考えるようにしましょう。
【aの解説】正しい
卵形成の途中でミトコンドリア数が一時的に大きく減少すると、残るミトコンドリアは偶然に決まります。
その後、残ったミトコンドリアだけが増殖するため、正常なミトコンドリアだけが残れば、その卵には正常なミトコンドリアだけが増えることになります。
したがって、一時的な減少がない場合よりも、正常なミトコンドリアのみをもつ卵ができる確率は高くなります。
【bの解説】正しい
ミトコンドリア数が一時的に減少すると、どのミトコンドリアが残るかは偶然によって決まります。
そのため、まれではありますが、ATP合成機能の低下したミトコンドリアだけが残り、それらが増殖する場合もあります。
このように、一時的な減少は正常なミトコンドリアだけでなく、異常なミトコンドリアだけになる可能性も高めます。
したがって、この記述は正しいです。
【cの解説】不適
突然変異はDNAの複製時などに偶然生じる現象であり、ミトコンドリア数が一時的に減少することによって突然変異の起こる頻度が変化するわけではありません。
一時的な減少によって変化するのは、どのミトコンドリアDNAが子孫に受け継がれるかであり、突然変異の起こりやすさではありません。
したがって、この記述は誤りです。
【dの解説】不適
ATP合成機能を正常に戻す突然変異(逆突然変異)が起こる頻度も、ミトコンドリア数の一時的な減少によって変化することはありません。
一時的な減少は、ミトコンドリアDNAの種類の割合を偶然変化させる現象であり、新たな突然変異や逆突然変異を起こしやすくする作用はありません。
したがって、この記述は誤りです。
これらを踏まえて、選択肢を選ぶようにしましょう。
正解です。
不適です。
不適です。
不適です。
不適です。
不適です。
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