共通テスト(理科) 過去問
令和7年度(2025年度)追・再試験
問143 (生物(第5問) 問1)

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問題

共通テスト(理科)試験 令和7年度(2025年度)追・再試験 問143(生物(第5問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

生物の進化と個体群に関する次の文章を読み、後の問いに答えよ。

生物は、形態や(a)DNAの塩基配列などの類似と相違によって分類されている。この類似と相違をもとに、(b)系統関係を表す系統樹を作成できる。
キリンやシカを含む分類群(鯨偶蹄(ぐうてい)目)には、頭部に角を持つ種と、持たない種の両方が存在する。(c)系統樹からは、この分類群において角がどのように進化してきたのか推測できる。これらの角は(d)雌をめぐる雄どうしの闘争によく用いられてきた。

下線部(a)に関連して、DNAの塩基配列の相違に関する記述として適当なものを、次のうちから二つ選べ。
  • DNAの塩基配列の変異が世代を経て蓄積する速度は、生存に重要な遺伝子と生存に重要でない遺伝子の間で差はない。
  • 有性生殖をしている同一種内では、全個体間でDNAの塩基配列に相違がない。
  • 生存に有利な突然変異だけが進化に関わる。
  • 多細胞生物において、突然変異には、遺伝するものと遺伝しないものがあり、進化に関わるのは遺伝するものである。
  • ハーディ・ワインベルグの法則が成立する集団では、突然変異によるDNAの塩基配列の変化が一定の割合で起こる。
  • 遺伝子プールには、突然変異によって過去に生じたDNAの塩基配列の相違が全て保存されている。
  • 集団内の遺伝子頻度は、その集団が小さいほど遺伝的浮動の影響を受けやすい。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、DNAの塩基配列の違いによる生物の進化や系統関係について問われています。

生物にはDNAの違いがあり、それが生物間・個体間の違いにつながっています。

選択肢1. DNAの塩基配列の変異が世代を経て蓄積する速度は、生存に重要な遺伝子と生存に重要でない遺伝子の間で差はない。

重要な遺伝子では自然選択を受けやすく、塩基配列の変化の蓄積速度に差が出ます。

よって、この選択肢は誤りとなります。

選択肢2. 有性生殖をしている同一種内では、全個体間でDNAの塩基配列に相違がない。

有性生殖では、父親と母親からそれぞれ遺伝情報を受け取ります。

さらに、減数分裂の際の遺伝子組み換えなどによって、親とは異なる遺伝的な組み合わせを持つ子が生じます。

そのため、有性生殖を行う種では、個体間に遺伝的な違いが生じやすくなります。

つまり、同一種内でも個体間にDNAの塩基配列に違いがあるということです。

よって、この選択肢は誤りとなります。

選択肢3. 生存に有利な突然変異だけが進化に関わる。

生存に有利な突然変異だけでなく、中立的・有害な突然変異も進化に関わります。

①有利な突然変異

⇨ある環境で生きる上で有利な形質を生じさせる突然変異が起こったとします。その個体がより多くの子孫を残せれば、その突然変異が次世代に伝わり、集団内でその遺伝子の頻度が高くなることがあります。これは、自然選択による進化の代表例となります。

 

②不利な突然変異

⇨不利な突然変異は自然選択によって排除され、その遺伝子の頻度が低下することがあります。つまり、集団内の遺伝子頻度が変化するようになります。これも進化に関わります。

 

③中立的な突然変異

突然変異の中には、生存や繁殖にほとんど影響しないものもあります。このような変異は、「中立的な変異」と呼ばれます。中立的な変異であっても、偶然によって集団内で増減することがあります。遺伝子浮動などによって集団内で頻度が変化することがあり、それが進化につながります。

 

つまり、有利な突然変異だけでなく、不利な突然変異・中立的な突然変異も進化に関わっています。

よって、この選択肢は誤りとなります。

選択肢4. 多細胞生物において、突然変異には、遺伝するものと遺伝しないものがあり、進化に関わるのは遺伝するものである。

多細胞生物では、突然変異には遺伝するもの(生殖細胞列)と基本的に遺伝しないもの(体細胞)があります。進化に関わるのは、基本的に次世代に受け継がれる突然変異です。

例えば、ある個体の体細胞に突然変異が起こっても、それが子孫に伝わらなければ基本的にその種の進化にはつながりません。

一方、生殖細胞系列に生じた突然変異が子孫に受け継がれると、その変異が集団内に存在するようになります。その後、自然選択や遺伝的浮動などによって、その変異の頻度が変化することで、進化につながることがあります。

よって、この選択肢は正しいと言えます。

選択肢5. ハーディ・ワインベルグの法則が成立する集団では、突然変異によるDNAの塩基配列の変化が一定の割合で起こる。

ハーディ・ワインベルグの法則では、突然変異などがないことが前提となります。

よって、この選択肢は誤りとなります。

選択肢6. 遺伝子プールには、突然変異によって過去に生じたDNAの塩基配列の相違が全て保存されている。

突然変異で生じた変異がすべて保存されるわけではありません。自然選択や遺伝的浮動などによって失われることもあります。

よって、この選択肢は誤りとなります。

選択肢7. 集団内の遺伝子頻度は、その集団が小さいほど遺伝的浮動の影響を受けやすい。

遺伝的浮動とは、集団内の遺伝子頻度が個体の生存や繁殖に有利かどうかとは関係なく、偶然によって変化する現象です。集団が小さいと、少数の個体が偶然多く子孫を残したり、逆に子孫を残さなかったことによる影響が大きくなるため、遺伝子頻度が大きく変化しやすくなります。

つまり、集団が小さいほど遺伝的浮動の影響を受けやすくなります。

よって、この選択肢は正しいと言えます。

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02

この問題はDNAの塩基配列の相違に関する記述として適当なものを、次のうちから二つ選ぶ問題です。

 

 

選択肢1. DNAの塩基配列の変異が世代を経て蓄積する速度は、生存に重要な遺伝子と生存に重要でない遺伝子の間で差はない。

不適です。

 

DNAの塩基配列の変異が起きた遺伝子が生存に重要だった場合、生存に不利になってしまうことが多く、自然選択で集団から排除され、子孫を残しにくくなるため、変異は蓄積しにくくなります。

よって、生存に重要な遺伝子の変異が蓄積する速度は、生存に重要でない遺伝子よりも遅くなります。

選択肢2. 有性生殖をしている同一種内では、全個体間でDNAの塩基配列に相違がない。

不適です。

 

有性生殖では、遺伝子の組換えや突然変異によって、常に新しい遺伝子の組み合わせが生じます。

そのため、個体間でDNAの塩基配列が異なります。

選択肢3. 生存に有利な突然変異だけが進化に関わる。

不適です。

 

もちろん生存に有利な突然変異は蓄積しやすく、進化に関わりやすいです。

一方で、生存に有利なわけではない突然変異も、生存に不利でない限り集団で蓄積されます。

よって、生存に有利な突然変異だけが進化に関わるわけではありません。

選択肢4. 多細胞生物において、突然変異には、遺伝するものと遺伝しないものがあり、進化に関わるのは遺伝するものである。

正解です。

 

多細胞生物の突然変異は生殖細胞のみでなく、その個体の体細胞でも常に生じています。

体細胞でおこった突然変異は子孫に受け継がれないため、遺伝しません。

生殖細胞になる予定の細胞で起こった突然変異が遺伝することで子孫に受け継がれ、進化に関わっていきます。

選択肢5. ハーディ・ワインベルグの法則が成立する集団では、突然変異によるDNAの塩基配列の変化が一定の割合で起こる。

不適です。

 

ハーディワインベルグの法則は集団の中の遺伝子頻度がどうなっていくかを表したモデルです。

ハーディワインベルグの法則が成立するためには、突然変異が起こらないことなどが条件とされています。

選択肢6. 遺伝子プールには、突然変異によって過去に生じたDNAの塩基配列の相違が全て保存されている。

不適です。

 

生じた突然変異のうち、生存に不利なものは自然選択で排除されやすいため、遺伝子プールには保存されにくくなります。

また、生存に有利な突然変異や、生存に有利でも不利でもない突然変異であっても失われることがあります。

 

よって、突然変異によって過去に生じたDNAの塩基配列の相違が全て保存されているわけではありません。

選択肢7. 集団内の遺伝子頻度は、その集団が小さいほど遺伝的浮動の影響を受けやすい。

正解です。

 

遺伝的浮動とは、偶然によって集団の遺伝子頻度が変動する現象です。

小集団であればあるほど、遺伝的浮動による誤差が大きくなるため、影響を受けやすくなります。

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