共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問146 (生物(第6問) 問1)
問題文
宮沢賢治が「サムサノナツハオロオロアルキ」と詠んだ夏場の低温による凶作では、10℃を上回る温度でも、イネのa種子が形成されにくくなる。その原因は、b低温では成熟した花粉が正常に形成されないことにある。この現象を調べるため、cイネの花のおしべが分化してから花粉が成熟するまでの約20日間の発生の過程を調べたところ、表1の結果が得られた。成熟した花粉が正常に形成されない現象は、d表1の発生段階のどこかが低温において進行しなくなっていることが原因と考えられる。
他方、冬場の低温においては、0℃以下になると細胞内の水が凍結し、生じた氷の結晶により細胞が破壊されることがある。しかし、e徐々に温度が低下した場合には、植物は凍結による細胞の破壊を回避できることがある。
表1
発生段階Ⅰ おしべが分化する
発生段階Ⅱ 葯(やく)の見かけが完成し、葯の中が花粉母細胞で満たされる
発生段階Ⅲ 減数分裂により、花粉母細胞から花粉四分子が形成される
発生段階Ⅳ 花粉四分子がばらばらになる
発生段階Ⅴ 花粉管細胞と雄原細胞が形成される
発生段階Ⅵ 花粉が成熟する
下線部aに関連して、一般的な被子植物の種子の形成から発芽に至る過程における現象の記述として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問146(生物(第6問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
宮沢賢治が「サムサノナツハオロオロアルキ」と詠んだ夏場の低温による凶作では、10℃を上回る温度でも、イネのa種子が形成されにくくなる。その原因は、b低温では成熟した花粉が正常に形成されないことにある。この現象を調べるため、cイネの花のおしべが分化してから花粉が成熟するまでの約20日間の発生の過程を調べたところ、表1の結果が得られた。成熟した花粉が正常に形成されない現象は、d表1の発生段階のどこかが低温において進行しなくなっていることが原因と考えられる。
他方、冬場の低温においては、0℃以下になると細胞内の水が凍結し、生じた氷の結晶により細胞が破壊されることがある。しかし、e徐々に温度が低下した場合には、植物は凍結による細胞の破壊を回避できることがある。
表1
発生段階Ⅰ おしべが分化する
発生段階Ⅱ 葯(やく)の見かけが完成し、葯の中が花粉母細胞で満たされる
発生段階Ⅲ 減数分裂により、花粉母細胞から花粉四分子が形成される
発生段階Ⅳ 花粉四分子がばらばらになる
発生段階Ⅴ 花粉管細胞と雄原細胞が形成される
発生段階Ⅵ 花粉が成熟する
下線部aに関連して、一般的な被子植物の種子の形成から発芽に至る過程における現象の記述として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 胚珠全体が、種子では種皮になる。
- 受精卵は、細胞分裂を経ずに胚となる。
- 発芽前の種子では、まだ器官の分化はみられない。
- 種子は、成熟すると乾燥に対して強くなる。
- 種子は、アブシシン酸の含有量が増えると発芽しやすくなる。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題は、一般的な被子植物の種子の形成から発芽に至る過程についての知識を問う問題です。
不適です。
被子植物では、胚珠は受精後に種子へと発達します。
種皮になるのは胚珠全体ではなく、胚珠を包んでいる珠皮です。
受精が起こると、胚珠の中にある受精卵は胚になり、受精極核は胚乳になります。
したがって、胚珠全体が種皮になるのではなく、胚珠全体が種子となり、そのうち珠皮が種皮になるのが正しい変化です。
不適です。
受精卵は、受精後すぐに胚になるのではなく、体細胞分裂を繰り返して細胞数を増やしながら胚へと発達します。
受精卵が細胞分裂を行うことで、根や茎、子葉などのもととなる組織が形成され、種子の中の胚がつくられます。
不適です。
種子の中にある胚は、受精卵が体細胞分裂を繰り返して形成されたものであり、発芽前の段階ですでに根・茎・子葉などの器官のもとが分化しています。
発芽とは、新たな器官が形成される過程ではなく、すでに形成されている胚が成長を再開し、植物体として外へ伸び出す過程です。
正解です。
種子は成熟する過程で水分量が大きく減少し、乾燥した状態になります。
この乾燥により代謝活動が著しく低下し、休眠状態となることで、不適切な環境でも長期間生存できるようになります。
また、成熟した種子には乾燥による細胞の損傷を防ぐ物質が蓄積されるため、水分が少ない状態でも胚の構造や機能が保たれます。
そのため、成熟した種子は未成熟な種子に比べて乾燥に対する耐性が高くなります。
不適です。
アブシシン酸は、種子の休眠を維持し、発芽を抑制する植物ホルモンです。
種子中のアブシシン酸の含有量が増えると、発芽に必要な代謝や成長が抑えられるため、発芽しにくくなります。
一方、発芽が始まる際には、アブシシン酸の含有量が減少し、発芽を促進する植物ホルモンであるジベレリンの働きが強くなります。
ジベレリンはデンプンを分解する酵素の合成を促進し、胚の成長に必要な養分を供給します。
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02
被子植物の種子の形成や発芽に関する問題です。
以下のポイントを参考に、各選択肢をみていきましょう。
【被子植物の種子形成についてのポイント】
器官の変化:胚珠→種子(種皮、胚、胚乳)、子房→果実
重複受精:卵細胞→胚、中央細胞→胚乳
※助細胞は花粉管の誘引など
胚発生:受精卵→胚→子葉や胚軸、幼根などに分化し種子内で休眠
不適です。
胚珠全体が種皮になるのではなく、胚珠の外皮部分(母体の組織の一部)が種皮となります。
不適です。
受精卵は、細胞分裂を経て胚軸や胚球を形成し、胚になります。
不適です。
発芽前の種子内では、胚が成長し子葉や幼根などの組織が分化しています。
正解です。
種子は成熟すると休眠状態になって乾燥にも強くなります。
不適です。
アブシシン酸は発芽を抑制するホルモンです。発芽を促進するホルモンはジベレリンです。
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