大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問149 (生物(第6問) 問4)
問題文
宮沢賢治が「サムサノナツハオロオロアルキ」と詠んだ夏場の低温による凶作では、10℃を上回る温度でも、イネのa種子が形成されにくくなる。その原因は、b低温では成熟した花粉が正常に形成されないことにある。この現象を調べるため、cイネの花のおしべが分化してから花粉が成熟するまでの約20日間の発生の過程を調べたところ、表1の結果が得られた。成熟した花粉が正常に形成されない現象は、d表1の発生段階のどこかが低温において進行しなくなっていることが原因と考えられる。
他方、冬場の低温においては、0℃以下になると細胞内の水が凍結し、生じた氷の結晶により細胞が破壊されることがある。しかし、e徐々に温度が低下した場合には、植物は凍結による細胞の破壊を回避できることがある。
表1
発生段階Ⅰ おしべが分化する
発生段階Ⅱ 葯(やく)の見かけが完成し、葯の中が花粉母細胞で満たされる
発生段階Ⅲ 減数分裂により、花粉母細胞から花粉四分子が形成される
発生段階Ⅳ 花粉四分子がばらばらになる
発生段階Ⅴ 花粉管細胞と雄原細胞が形成される
発生段階Ⅵ 花粉が成熟する
下線部dに関連して、低温処理が花粉の形成に与える影響を調べるため、実験1を行った。実験1の結果から導かれる後の考察文中のア〜ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
実験1
ジベレリン合成能力の変化が原因で草丈が低い矮性(わいせい)のイネでは、普通の草丈のイネに比べて、低温で処理した際には異常な花粉の割合がさらに高くなった。また、普通の草丈のイネを低温で処理したときの葯のジベレリンの量を測定したところ、処理しなかったものと比較して減少していた。さらに、この処理の際に根からジベレリンを吸収させたところ、正常な花粉の割合が回復した。
ジベレリンには、草丈を( ア )する働きと、低温にさらされたときの花粉の形成を( イ )働きとがある。花粉の形成におけるジベレリンの働きから考えると、品種改良された草丈が低く倒伏しにくい現代のイネは、品種改良される前のイネに比べて、低温に対して( ウ )なっている可能性がある。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問149(生物(第6問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
宮沢賢治が「サムサノナツハオロオロアルキ」と詠んだ夏場の低温による凶作では、10℃を上回る温度でも、イネのa種子が形成されにくくなる。その原因は、b低温では成熟した花粉が正常に形成されないことにある。この現象を調べるため、cイネの花のおしべが分化してから花粉が成熟するまでの約20日間の発生の過程を調べたところ、表1の結果が得られた。成熟した花粉が正常に形成されない現象は、d表1の発生段階のどこかが低温において進行しなくなっていることが原因と考えられる。
他方、冬場の低温においては、0℃以下になると細胞内の水が凍結し、生じた氷の結晶により細胞が破壊されることがある。しかし、e徐々に温度が低下した場合には、植物は凍結による細胞の破壊を回避できることがある。
表1
発生段階Ⅰ おしべが分化する
発生段階Ⅱ 葯(やく)の見かけが完成し、葯の中が花粉母細胞で満たされる
発生段階Ⅲ 減数分裂により、花粉母細胞から花粉四分子が形成される
発生段階Ⅳ 花粉四分子がばらばらになる
発生段階Ⅴ 花粉管細胞と雄原細胞が形成される
発生段階Ⅵ 花粉が成熟する
下線部dに関連して、低温処理が花粉の形成に与える影響を調べるため、実験1を行った。実験1の結果から導かれる後の考察文中のア〜ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
実験1
ジベレリン合成能力の変化が原因で草丈が低い矮性(わいせい)のイネでは、普通の草丈のイネに比べて、低温で処理した際には異常な花粉の割合がさらに高くなった。また、普通の草丈のイネを低温で処理したときの葯のジベレリンの量を測定したところ、処理しなかったものと比較して減少していた。さらに、この処理の際に根からジベレリンを吸収させたところ、正常な花粉の割合が回復した。
ジベレリンには、草丈を( ア )する働きと、低温にさらされたときの花粉の形成を( イ )働きとがある。花粉の形成におけるジベレリンの働きから考えると、品種改良された草丈が低く倒伏しにくい現代のイネは、品種改良される前のイネに比べて、低温に対して( ウ )なっている可能性がある。
- ア:高く イ:阻害から守る ウ:弱く
- ア:高く イ:阻害から守る ウ:強く
- ア:高く イ:阻害する ウ:弱く
- ア:高く イ:阻害する ウ:強く
- ア:低く イ:阻害から守る ウ:弱く
- ア:低く イ:阻害から守る ウ:強く
- ア:低く イ:阻害する ウ:弱く
- ア:低く イ:阻害する ウ:強く
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説
前の問題(問148)へ
令和4年度(2022年度)本試験 問題一覧
次の問題(問150)へ