共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問134 (生物(第1問) 問2)
問題文
シアノバクテリアは、光合成に用いる光エネルギーを捕集する色素―タンパク質複合体(以下、集光装置)としてフィコシアノビリン―タンパク質複合体を用いている。この複合体を構成する主なタンパク質は、αサブユニットとβサブユニットとが結合した複合体(以下、α/β複合体)であり、それらの遺伝子は(a)オペロンを形成している。
細菌は、必須元素の硫黄を硫酸イオンとして取り込み、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンやシステインの合成に利用している。ある種のシアノバクテリアは、硫酸イオンを十分取り込める培養条件(以下、硫酸十分条件)から硫酸イオンが欠乏する培養条件(以下、硫酸欠乏条件)に切り替わると、メチオニンやシステインをアミノ酸配列中に必要最小限しか持たないα/β複合体を使うようになる。シアノバクテリアでは集光装置がタンパク質全体のおよそ半分を占めるため、このような応答によって、生育に必要な硫酸イオンの量を大幅に少なくすることができる。
シアノバクテリアの硫酸欠乏条件への適応におけるα/β複合体の発現調節の仕組みを調べるため、実験1を行った。
実験1 硫酸十分条件および硫酸欠乏条件で培養したシアノバクテリアで、α/β複合体のαサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子A・C・Eおよびβサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子B・D・Fの発現量を調べたところ、図1の結果が得られた。なお、遺伝子Aと遺伝子B、遺伝子Cと遺伝子D、および遺伝子Eと遺伝子Fは、それぞれオペロンを形成している。
次の記述a〜dのうち、実験1の結果から導かれる考察として適当な記述はどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
a 遺伝子Aと遺伝子Bは、硫酸イオン濃度による制御を受けない。
b 遺伝子Cと遺伝子Dは、主に硫酸十分条件で働く。
c 遺伝子Eと遺伝子Fは、メチオニンやシステインの少ないα/β複合体の各サブユニットのアミノ酸配列を指定する。
d シアノバクテリアは、硫酸欠乏条件では光合成を行わない。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問134(生物(第1問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
シアノバクテリアは、光合成に用いる光エネルギーを捕集する色素―タンパク質複合体(以下、集光装置)としてフィコシアノビリン―タンパク質複合体を用いている。この複合体を構成する主なタンパク質は、αサブユニットとβサブユニットとが結合した複合体(以下、α/β複合体)であり、それらの遺伝子は(a)オペロンを形成している。
細菌は、必須元素の硫黄を硫酸イオンとして取り込み、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンやシステインの合成に利用している。ある種のシアノバクテリアは、硫酸イオンを十分取り込める培養条件(以下、硫酸十分条件)から硫酸イオンが欠乏する培養条件(以下、硫酸欠乏条件)に切り替わると、メチオニンやシステインをアミノ酸配列中に必要最小限しか持たないα/β複合体を使うようになる。シアノバクテリアでは集光装置がタンパク質全体のおよそ半分を占めるため、このような応答によって、生育に必要な硫酸イオンの量を大幅に少なくすることができる。
シアノバクテリアの硫酸欠乏条件への適応におけるα/β複合体の発現調節の仕組みを調べるため、実験1を行った。
実験1 硫酸十分条件および硫酸欠乏条件で培養したシアノバクテリアで、α/β複合体のαサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子A・C・Eおよびβサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子B・D・Fの発現量を調べたところ、図1の結果が得られた。なお、遺伝子Aと遺伝子B、遺伝子Cと遺伝子D、および遺伝子Eと遺伝子Fは、それぞれオペロンを形成している。
次の記述a〜dのうち、実験1の結果から導かれる考察として適当な記述はどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
a 遺伝子Aと遺伝子Bは、硫酸イオン濃度による制御を受けない。
b 遺伝子Cと遺伝子Dは、主に硫酸十分条件で働く。
c 遺伝子Eと遺伝子Fは、メチオニンやシステインの少ないα/β複合体の各サブユニットのアミノ酸配列を指定する。
d シアノバクテリアは、硫酸欠乏条件では光合成を行わない。
- a,b
- a,c
- a,d
- b,c
- b,d
- c,d
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この過去問の解説 (3件)
01
資料読解です。
a→ともに硫酸欠乏条件に対し硫酸十分条件が圧倒的に上回っているため誤り。
b→硫酸欠乏条件で発現量が硫酸十分条件の1/100であり、正しい。
c→遺伝子Eと遺伝子Fは酸素欠乏条件で増加しており、酸素欠乏条件で需要の高まる「メチオニンやシステインの少ないα/β複合体の各サブユニット」と酸素濃度に対する増加量は同じ曲線になりうる。よって正しい。
d→光合成はタンパク質を生成する反応で、メチオニンやシステインはタンパク質でできているので、反応が不全となるとタンパク質が減る。よって正しい可能性はゼロではないが、そのヒントはこの実験からは得られないので選ばないのが正解。
よってb,cが正答です。
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02
この問題では、遺伝子の発現量の変化をグラフから正しく読み取れるかがポイントとなります。aについては、図1の左側のグラフから、硫酸欠乏条件下において遺伝子発現量が大幅に減少していることが分かります。これは、硫酸イオン濃度の制御を受けていると考えられるため、誤りとなります。bは真ん中のグラフから読み取れます。遺伝子Cと遺伝子Dは硫酸欠乏条件下においてはほとんど発現しないことが分かります。よって硫酸十分条件下で働くと言えるため、正しいです。cは右のグラフから読み取れます。遺伝子Eと遺伝子Fは硫酸欠乏条件下において、硫酸十分条件下よりも大幅に発現量が多くなっています。これは、硫酸イオンの減少により、メチオニンやシステインをアミノ酸配列中に最小限しか持たないα/β複合体を使うようになっているからであると考えられるため、選択肢として正しいと言えます。dは、特に左側のグラフから読み取れるように、硫酸欠乏条件下であっても、α/β複合体を使って集光装置を形成するため、この選択肢は誤りとなります。
以上の理由から、bとcを含む選択肢が正解となります。
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03
この問題を解く為には、オペロンの性質を知った上で問題文の設定を理解し、選択肢とグラフを照らし合わせていく必要があります。今回の場合では、α/β複合体を作るための設計図のセット(オペロン)が3種類あり、条件によって発現量が変化するようです。aについて考えます。図1の左端のグラフを見てみましょう。硫酸十分条件に比べて、酸欠乏条件時は明らかに遺伝子の発現量が減少しています。したがって、硫酸イオン濃度による影響を受けているので、aの選択肢は間違いです。bの選択肢については、真ん中のグラフで2つの条件下を比較することにより、正しいことが分かります。cの選択肢について考えます。右端のグラフより遺伝子E、Fは硫酸欠乏条件で発現量が増加してます。これはアミノ酸配列中に、硫黄原子を含むアミノ酸(メチオニン、システイン)が少ないからです。よってcは正しいです。dは、今回の実験と関係がなく、読み取れる箇所がないので間違いです。
したがって、b、cを含む選択肢が正解になります。
選択肢を読んでから、その都度グラフと本文を入念に確認していく事がグラフ読解問題の要です。
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