共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問136 (生物(第1問) 問4)
問題文
シアノバクテリアは、光合成に用いる光エネルギーを捕集する色素―タンパク質複合体(以下、集光装置)としてフィコシアノビリン―タンパク質複合体を用いている。この複合体を構成する主なタンパク質は、αサブユニットとβサブユニットとが結合した複合体(以下、α/β複合体)であり、それらの遺伝子は(a)オペロンを形成している。
細菌は、必須元素の硫黄を硫酸イオンとして取り込み、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンやシステインの合成に利用している。ある種のシアノバクテリアは、硫酸イオンを十分取り込める培養条件(以下、硫酸十分条件)から硫酸イオンが欠乏する培養条件(以下、硫酸欠乏条件)に切り替わると、メチオニンやシステインをアミノ酸配列中に必要最小限しか持たないα/β複合体を使うようになる。シアノバクテリアでは集光装置がタンパク質全体のおよそ半分を占めるため、このような応答によって、生育に必要な硫酸イオンの量を大幅に少なくすることができる。
シアノバクテリアの硫酸欠乏条件への適応におけるα/β複合体の発現調節の仕組みを調べるため、実験1を行った。
実験1 硫酸十分条件および硫酸欠乏条件で培養したシアノバクテリアで、α/β複合体のαサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子A・C・Eおよびβサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子B・D・Fの発現量を調べたところ、図1の結果が得られた。なお、遺伝子Aと遺伝子B、遺伝子Cと遺伝子D、および遺伝子Eと遺伝子Fは、それぞれオペロンを形成している。
光合成を行う真核生物どうしでも、葉緑体内の集光装置は分類群によって異なる。表1は、光合成を行ういくつかの真核生物の分類群とその集光装置を示している。表1を踏まえて、図2に示す系統樹中の( ア )~( オ )に入る分類群の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。ただし、それぞれの集光装置は、フィコシアノビリン―タンパク質複合体から1回の変化により生じたとする。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問136(生物(第1問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
シアノバクテリアは、光合成に用いる光エネルギーを捕集する色素―タンパク質複合体(以下、集光装置)としてフィコシアノビリン―タンパク質複合体を用いている。この複合体を構成する主なタンパク質は、αサブユニットとβサブユニットとが結合した複合体(以下、α/β複合体)であり、それらの遺伝子は(a)オペロンを形成している。
細菌は、必須元素の硫黄を硫酸イオンとして取り込み、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンやシステインの合成に利用している。ある種のシアノバクテリアは、硫酸イオンを十分取り込める培養条件(以下、硫酸十分条件)から硫酸イオンが欠乏する培養条件(以下、硫酸欠乏条件)に切り替わると、メチオニンやシステインをアミノ酸配列中に必要最小限しか持たないα/β複合体を使うようになる。シアノバクテリアでは集光装置がタンパク質全体のおよそ半分を占めるため、このような応答によって、生育に必要な硫酸イオンの量を大幅に少なくすることができる。
シアノバクテリアの硫酸欠乏条件への適応におけるα/β複合体の発現調節の仕組みを調べるため、実験1を行った。
実験1 硫酸十分条件および硫酸欠乏条件で培養したシアノバクテリアで、α/β複合体のαサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子A・C・Eおよびβサブユニットのアミノ酸配列を指定する遺伝子B・D・Fの発現量を調べたところ、図1の結果が得られた。なお、遺伝子Aと遺伝子B、遺伝子Cと遺伝子D、および遺伝子Eと遺伝子Fは、それぞれオペロンを形成している。
光合成を行う真核生物どうしでも、葉緑体内の集光装置は分類群によって異なる。表1は、光合成を行ういくつかの真核生物の分類群とその集光装置を示している。表1を踏まえて、図2に示す系統樹中の( ア )~( オ )に入る分類群の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。ただし、それぞれの集光装置は、フィコシアノビリン―タンパク質複合体から1回の変化により生じたとする。
- ア:紅藻 イ:褐藻 ウ:ケイ藻 エ:緑藻 オ:植物
- ア:紅藻 イ:ケイ藻 ウ:褐藻 エ:緑藻 オ:植物
- ア:紅藻 イ:緑藻 ウ:植物 エ:褐藻 オ:ケイ藻
- ア:緑藻 イ:植物 ウ:紅藻 エ:褐藻 オ:ケイ藻
- ア:緑藻 イ:植物 ウ:褐藻 エ:紅藻 オ:ケイ藻
- ア:緑藻 イ:植物 ウ:ケイ藻 エ:紅藻 オ:褐物
- ア:植物 イ:緑藻 ウ:紅藻 エ:褐藻 オ:ケイ藻
- ア:植物 イ:緑藻 ウ:褐藻 エ:紅藻 オ:ケイ藻
- ア:植物 イ:緑藻 ウ:ケイ藻 エ:紅藻 オ:褐物
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この過去問の解説 (3件)
01
褐藻とケイ藻、緑藻と植物が同じ分類にあたることから、このどちらかが、エ,オにセットで入る。
よって、紅藻はア~ウのいずれかである。
ここで、シャジクモに最も近縁なのは植物なので、
ア:植物
イ:緑藻
ウ:紅藻
エ,オ:褐藻とケイ藻
が正答となる。
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02
この問題は、シャジクモ類が表1のうちどの分類群と近縁なのかを基礎知識として把握しているかがポイントとなります。シャジクモ類は主に淡水域に生息する、陸上植物近縁種の藻類です。よって、シャジクモ類との分岐が浅いアが植物と考えられます。表1より、植物と同じ集光装置であるクロロフィルータンパク質複合体を持つ緑藻が植物の次にシャジクモ類に近縁であると考えられます。よってイは緑藻となります。残りの分類群の集光装置を見ると、褐藻とケイ藻が同じフコキサンチンータンパク質複合体であることから、これらは近縁種と推測されるため、エが褐藻、オがケイ藻となります。以上から、紅藻がウに当てはまります。まとめると、ア.植物、イ.緑藻、ウ.紅藻、エ.褐藻、オ.ケイ藻が正しいと言えます。
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03
選択肢中で、植物の最も近い近縁種がシャジクモである、という知識を前提条件としておさえている必要があります。したがって、シャジクモのすぐ真下のアが植物。表1より緑藻の集光装置は植物と同一なので、緑藻は植物の祖先と分岐してから日が浅いと考え、イに当てはまります。残る紅藻、褐藻、ケイ藻については、集光装置が同じ褐藻、ケイ藻はエとオ、残りの紅藻はウに当てはまります。したがって正しい選択肢は
ア:植物 イ:緑藻 ウ:紅藻 エ:褐藻 オ:ケイ藻です。
前提知識として、植物がシャジクモ類と最も最近に分岐したことを知らないと、解きづらい問題でした。知識としてぜひ知っておいてください。
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