共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問137 (生物(第2問) 問1)

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問題

共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問137(生物(第2問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読み、後の問いに答えよ。

ヒトでは、3種類の錐体細胞が色覚を担っている。各錐体細胞には光に反応する物質(視物質)が1種類ずつ存在し、3種類の視物質はそれぞれ異なる波長の光に反応する。これら3種類の視物質それぞれをつくる三つの遺伝子のうち、一つは常染色体に存在する。残りの二つはX染色体上に並んで存在し、(a)遺伝子重複によって生じたと考えられている。他方、多くの哺乳類では、この遺伝子重複が起こっていないため、視物質をつくる遺伝子がX染色体上には一つしかなく、2種類の視物質からなる二色型色覚になっている。(b)ノドジロオマキザルという霊長類の一種では、X染色体における遺伝子の重複は起こっていないにもかかわらず、二色型色覚の個体(以下、二色型)と三色型色覚の個体(以下、三色型)とが共存している。ノドジロオマキザルでは、X染色体上の一つの遺伝子座に複数の対立遺伝子があり、それぞれの対立遺伝子は互いに異なる色に対応するため、X染色体の遺伝子座がヘテロ接合になっている個体は、三色型になる。なお、ノドジロオマキザルは、ヒトと同じ性決定様式を持つ。

下線部(a)について、次の記述a〜cのうち、適当なものはどれか。それを過不足なく含むものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

a  重複によって生じた遺伝子の片方に突然変異が起こることで、もう一方の遺伝子が合成するタンパク質とは異なるアミノ酸配列のタンパク質が合成されるようになることがある。
b  重複によって生じた遺伝子の片方の転写調節領域に突然変異が起こることで、その遺伝子はもう一方の遺伝子とは異なる組織で発現するようになることがある。
c  重複によって生じた遺伝子の片方に突然変異が起こることでその遺伝子の働きが失われても、個体の生存にとって不利にならないことがある。
  • a
  • b
  • c
  • a,b
  • a,c
  • b,c
  • a,b,c

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題で問われている遺伝子重複についておさえます。「遺伝子重複」とは、DNAの特定の領域がコピーされる現象です。間違えやすい「倍数化」は細胞内の染色体全体が倍増する現象を指すため、異なるものであることを念頭におきましょう。aは、遺伝子に突然変異が現れると、DNA配列が変化し、合成されるタンパク質も異なる可能性があるため正しいと言えます。bは、遺伝子重複によりコピーされた遺伝子の転写調節領域の突然変異が蓄積されることにより、発現する組織がもとの機能の発現組織と異なったり、新しい組織で発現するようになったりするため、正しいと言えます。cは、遺伝子の片方の機能が失われても、もう片方の遺伝子によりタンパク質は合成されるため、個体の生存には不利にならないことがあります。以上から、a、b、cのどの選択肢も正しいと言えます。

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02

遺伝子重複とは、遺伝子の重複です。

 

例えば、「…ABC…」という並びで遺伝子が配列したときに、Bで遺伝子重複が起こると「…ABBC…」となります。つまり下線部すべてでイレギュラーが起こるわけです。塩基配列の話で4,5種類の突然変異を習いますが、同じように処理します。(塩基の話だと「挿入」に近しいです。)

 

遺伝子の発現様式は、何番目と何番目でここに発現させるみたいなやり方です。上の例で仮に三つの遺伝子「ABC」のみでできている生物だとすると、「---」「A--」「-B-」「--C」「AB-」「A-C」「-BC」「ABC」の8(=23)通りの細胞(・組織・器官)が生成できます。

 

この仕組みこそ、母親から受け継ぐ遺伝子のみで、皮膚・血管・目・爪・髪といった多様な細胞を発現できる理由です。

 

もし「ABC」→「ABB」が生じたら表現できる情報は半分に減ります。正確には本当は「A-C」「--C」の場所が「A-B」「--B」で表現されてしまいます。

それは『異なるアミノ酸』や『異なる組織』を引き起こすし、それは有利にも『不利』にもなりますが、それが突然変異たるからには、元の状態こそが環境適応性が高いはずですから、おおむね不利になります。

 

よって、a,b,cはすべて正しい。

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03

この問題の肝である遺伝子重複の定義は説明できますか?遺伝子重複とは、染色体上の特定の塩基配列が繰り返され、その分染色体が延長する構造変化です。染色体の数が2倍になる訳ではないので、勘違いに注意しましょう。

a:突然変異により塩基配列が変化すると、対応するコドンが変化し結果的に指定するアミノ酸が変わる事があります。この文章は正しいです。

b:各組織で存在している調節タンパク質の種類や量は異なります。その差違によって、各組織では特定のタンパク質のみ発現させる事ができます。転写調節領域に突然変異が生じると、どの調節タンパク質と結合しやすくなるかが変化し、別の組織で発現する事があります。この文章は正しいです。

c:片方の遺伝子が突然変異で機能を失っても、もう一方の遺伝子で正常なタンパク質を発現できます。この文章は正しいです。 

したがって正しいのはa,b,cの選択肢全てです。

まとめ

遺伝子重複は、進化の過程で大きな役割を果たしてきたことをおさえましょう。重複遺伝子の片方のみに突然変異が起きれば、既存の機能を残したまま新たな機能を獲得する可能性が生じます。これによって多くの種が種分化や進化を遂げてきました。

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