共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問154 (生物(第5問) 問3(1))
問題文
ショウジョウバエでは、タンパク質XのmRNAは、(a)母性因子の遺伝子(母性効果遺伝子)(以下、母性遺伝子)から転写され、卵の後端の細胞質に蓄えられる。卵が産みだされると、このmRNAからタンパク質Xが翻訳され、発生を開始した卵(以下、胚)の後端から前方の領域にかけて(b)タンパク質Xの濃度勾配が生じ、タンパク質Xの濃度が一定以上になった領域に腹部が形成される。
母性遺伝子の働きを明らかにするため、ショウジョウバエを用いて実験1~3を行った。
実験1 卵形成に先立って、タンパク質Xをつくる母性遺伝子Xの働きを失わせた雌から産みだされた卵を発生させたところ、腹部は形成されず、孵化(ふか)しなかった。
実験2 腹部形成の制御には、母性遺伝子Xとは別の母性遺伝子Yも関わることが分かっている。卵形成に先立って、母性遺伝子Xの働きと母性遺伝子Yの働きをともに失わせた雌から産みだされた卵を発生させたところ、腹部が形成された。
実験3 母性遺伝子Yから転写されるmRNAの分布と、タンパク質Yの分布とを調べた。正常な発生の過程では、タンパク質YのmRNAは、卵の全域に分布するが、タンパク質Yは、腹部が形成される領域に分布しないことが分かった。そこで、この領域でタンパク質Yを強制的に合成させたのち卵を発生させたところ、腹部が形成されなかった。
次の記述d〜hのうち、実験1~3の結果から導かれるタンパク質Xの働きに関する考察として適当なものはどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
d 正常な胚において、タンパク質Xは、腹部形成に必要なタンパク質Yの合成を促進するので、腹部が形成される。
e 正常な胚において、タンパク質Xは、タンパク質Yと結合するので、腹部が形成される。
f 正常な胚において、タンパク質Xは、腹部形成を阻害するタンパク質Yの合成を抑制するので、腹部が形成される。
g タンパク質Xの働きを失わせても、腹部が形成されることがある。
h タンパク質Xの働きを失わせると、腹部が形成されることはない。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問154(生物(第5問) 問3(1)) (訂正依頼・報告はこちら)
ショウジョウバエでは、タンパク質XのmRNAは、(a)母性因子の遺伝子(母性効果遺伝子)(以下、母性遺伝子)から転写され、卵の後端の細胞質に蓄えられる。卵が産みだされると、このmRNAからタンパク質Xが翻訳され、発生を開始した卵(以下、胚)の後端から前方の領域にかけて(b)タンパク質Xの濃度勾配が生じ、タンパク質Xの濃度が一定以上になった領域に腹部が形成される。
母性遺伝子の働きを明らかにするため、ショウジョウバエを用いて実験1~3を行った。
実験1 卵形成に先立って、タンパク質Xをつくる母性遺伝子Xの働きを失わせた雌から産みだされた卵を発生させたところ、腹部は形成されず、孵化(ふか)しなかった。
実験2 腹部形成の制御には、母性遺伝子Xとは別の母性遺伝子Yも関わることが分かっている。卵形成に先立って、母性遺伝子Xの働きと母性遺伝子Yの働きをともに失わせた雌から産みだされた卵を発生させたところ、腹部が形成された。
実験3 母性遺伝子Yから転写されるmRNAの分布と、タンパク質Yの分布とを調べた。正常な発生の過程では、タンパク質YのmRNAは、卵の全域に分布するが、タンパク質Yは、腹部が形成される領域に分布しないことが分かった。そこで、この領域でタンパク質Yを強制的に合成させたのち卵を発生させたところ、腹部が形成されなかった。
次の記述d〜hのうち、実験1~3の結果から導かれるタンパク質Xの働きに関する考察として適当なものはどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
d 正常な胚において、タンパク質Xは、腹部形成に必要なタンパク質Yの合成を促進するので、腹部が形成される。
e 正常な胚において、タンパク質Xは、タンパク質Yと結合するので、腹部が形成される。
f 正常な胚において、タンパク質Xは、腹部形成を阻害するタンパク質Yの合成を抑制するので、腹部が形成される。
g タンパク質Xの働きを失わせても、腹部が形成されることがある。
h タンパク質Xの働きを失わせると、腹部が形成されることはない。
- d,g
- d,h
- e,g
- e,h
- f,g
- f,h
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題では、実験結果から何が分かるかを紐解くと、選択肢が絞られていきます。
実験1では母性遺伝子Xを失わせたら腹部が形成されなかったという結果であることから、母性遺伝子Xは腹部形成に欠かせないものであることが分かります。
実験2では、母性遺伝子Xと母性遺伝子Yを失わせると、腹部が形成されたことと実験1の結果から、母性遺伝子Yは腹部の形成を阻害している可能性があります。
実験3では、タンパク質Yは腹部形成を阻害するタンパク質であることが分かるため、ここから、タンパク質Xは腹部形成を阻害するタンパク質Yの合成を阻害する働きがあるのではないかと考えられます。
ここから、各文章について考えます。
d は上記の説明から、誤りと言えます。
e は問題文にタンパク質Xとタンパク質Yの結合についての記載がないため誤りと言えます。
f は上記の実験結果から正しいと言えます。
g は実験2から、タンパク質Yがない条件下であれば腹部は形成されると分かるため、正しいと言えます。
h は g と同様の理由から、誤りであると言えます。
したがって、実験結果から導かれる考察として適当な組み合わせは f と g と言えます。
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02
『実験1~3の結果から導かれるタンパク質Xの働きに関する考察』は選択肢を見る以前に自分でも思考しましょう。選択肢は基本あやかしです。(半分以上は誤った選択肢なのでその情報を頭に入れることによる恩恵などありません)
実験1⇒母性遺伝子Xは腹部形成に関与し、腹部形成は孵化そのものに関与している
実験2⇒母性遺伝子Yも腹部形成に関与している。
よって表の下段から順に考えると
両方ない:形成
↓
Yのみ:形成されない⇒Yは腹部形成の抑制効果……①
↓
X、Yあり:形成される⇒Xは腹部形成の促進効果をもち、Yの抑制効果を上回る効果……②
実験3⇒タンパク質Yの形成は腹部の形成を阻止する
母性遺伝子Yによって形成されるたんぱく質Yは腹部形成を阻止する……①’
さて、選択肢を見ていきましょう。
d 『腹部形成に必要なタンパク質Y』は①’より誤りです。
e 『タンパク質Xは、タンパク質Yと結合するので』を判断する文脈はないので誤りです。
f ①と②まんまの話です。よって正しい。
g 実験2こそXのない状態での腹部形成の例です。よって正しい。
h 選択肢gと対の内容で、誤りです。
よってf、gが答え。
①、②、①'程度は己で整理できるようにしましょう。
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03
d、e:誤り。実験1(Yのみ)→腹部なし、実験2(なし)→腹部形成、となるからYは腹部形成を阻害してる事がわかります。
f:正しい。実験1(Yのみ)と通常時の結果を比べるとタンパク質Xは、Yの働きを阻害してる事が分かります。
g、h:実験2より、タンパク質Xがない場合でも、腹部が形成されています。よってgが正しい。
答えは、f、gです。
正解です。
gとhの選択肢で悩んだ人が多いと思います。実験での結果を基本に、冷静に考えましょう。
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