共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問121 (生物(第3問) 問3)

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問題

共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問121(生物(第3問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読み、後の問いに答えよ。

トゲウオ科の魚の種Aには、主として海洋に棲息する集団(以下、海洋型)と、淡水域に隔離されて棲息し、海洋型から遺伝的に分化した集団(以下、淡水型)とが存在する。海洋型は、図1のように(a)腹びれが棘(とげ)状になった腹棘(ふくきょく)と、胴部によろいのような硬い鱗板(りんばん)とを形成するが、淡水型ではどちらも喪失している。

様々な実験の結果、種Aの淡水型での腹棘の喪失は遺伝子Xが原因であると考えられた。遺伝子Xからつくられるタンパク質Xは調節タンパク質である。また、遺伝子Xから転写されたmRNAは、海洋型の個体では頭部と腹部で観察されたのに対し、淡水型の個体では頭部でのみ観察された。

種Aの淡水型への分化を引き起こした遺伝子Xの変化について調べるため、次の仮説を立てた。それをもとに実験1・実験2を行って、得られた結果からこの仮説が正しいことを証明した。実験1の文章中のア~ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

仮説:タンパク質Xは、淡水型か海洋型かによらず、腹棘の形成に必要な全ての遺伝子を活性化できる。淡水型で腹棘を喪失した原因となった突然変異は、ゲノム上でタンパク質Xのアミノ酸配列を指定している領域以外で生じた。

実験1
種Aの( ア )の遺伝子Xの( イ )、プロモーター、および緑色蛍光タンパク質をつくる遺伝子(以下、GFP遺伝子)を結合したプラスミドPを、( ウ )の受精卵の染色体に組み込んだところ、その受精卵から発生した個体では、頭部と腹部で蛍光が観察された。他方、( ウ )の遺伝子Xの( イ )、プロモーター、およびGFP遺伝子を結合したプラスミドQを、( ウ )の受精卵の染色体に組み込んだところ、頭部で蛍光が観察される個体が得られたが、腹部で蛍光が観察される個体は得られなかった。

実験2
実験1のプラスミドPのGFP遺伝子を( エ )のタンパク質Xのアミノ酸配列を指定するDNA断片に置き換えたプラスミドSを作製し、( オ )の受精卵の染色体に組み込んだところ、その受精卵から発生した個体は、腹棘を形成( カ )。
問題文の画像
  • ア:海洋型  イ:オペレーター  ウ:淡水型
  • ア:海洋型  イ:転写調節領域  ウ:淡水型
  • ア:淡水型  イ:オペレーター  ウ:海洋型
  • ア:淡水型  イ:転写調節領域  ウ:海洋型

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この過去問の解説 (3件)

01

遺伝子XのmRNAの発現パターンの違いについて、海洋型では頭部と腹部の両方で発現しており、腹部で腹棘を形成しています。

一方で、淡水型では、頭部のみで発現しており、腹部では発現していません。そのため、腹棘を形成しません。

選択肢2. ア:海洋型  イ:転写調節領域  ウ:淡水型

仮説によると、タンパク質Xの機能自体は、海洋型も淡水型もどちらも正常です。淡水型で腹棘が形成されない原因は、アミノ酸配列を指定している領域以外で生じた可能性が示唆されます。
この仮説を証明するために、実験1では発現する場所をコントロールしている領域(調節領域)」が、海洋型と淡水型でどう違うかをGFP(蛍光タンパク質)を使って可視化しています。

 

実験1では、(ア)由来の遺伝子Xを結合したプラスミドPを(ウ)の受精卵の染色体に組み込んだところ、頭部と腹部の両方で蛍光が観察されました。一方で、(ウ)由来の遺伝子Xを結合したプラスミドQを(ウ)の受精卵の染色体に組み込んだところ、頭部で蛍光が観察されたものの、腹部では観察されませんでした。
この結果から、(ア)が海洋型で、(ウ)が淡水型であるといえます。

 

(イ)には「オペレーター」または「転写調節領域」のいずれかが入ります。
仮説では、淡水型で腹棘が形成されない原因は、タンパク質Xのアミノ酸配列ではなく、発現する領域に変異があることが示唆されます。
実験1は、領域自体の性質を比較するために行っているので、(イ)は転写調節領域が正しいといえます。

まとめ

ア:海洋型 イ:転写調節領域 ウ:淡水型 が正解です。
 

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02

GFP遺伝子は蛍光タンパク質の遺伝子で、正常に転写翻訳の過程が進むかを確認できます。

今回は、遺伝子Xの発現の有無を確認できます。

ア:頭部と腹部で蛍光が確認できたので海洋型です。

イ:オペレーターは原核生物しか持たないので除外です。よって転写調節領域です。

ウ:腹部で蛍光が観察される個体がえられなかった、とあるのでこれは淡水型です。

選択肢2. ア:海洋型  イ:転写調節領域  ウ:淡水型

正解です。

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03

アまたはウには、「海洋型」または「淡水型」いずれかの語句が入ります。

実験1において、ア由来の遺伝子を結合したプラスミドPを組み込んだところ、頭部と腹部の両方で蛍光が観察されたという結果が得られました。

一方で、ウ由来の遺伝子を結合したプラスミドPを組み込んだところ、頭部で蛍光が観察される個体が得られましたが、腹部で蛍光が観察される個体は得られませんでした。よって、アが海洋型で、ウが淡水型です。

 

イには、「オペレーター」または「転写調節領域」いずれかの語句が入ります。仮説より、淡水型で腹棘が失われた原因はタンパク質Xのアミノ酸配列ではなく、遺伝子Xの発現場所の変化だと考えられています。実験1では、どこで遺伝子が発現するかを決める領域を比較しており、「転写調節領域」が適切だと考えられます。よって、イは転写調節領域です。

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