共通テスト(理科) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問130 (生物(第1問) 問5)
問題文
舌の味覚芽(味蕾)(みらい)に存在する味細胞は、水などに溶けた化学物質を受容し、興奮する。その興奮が(a)神経によって大脳に伝わると、味覚が生じる。味覚には、甘味・うま味・苦味・塩味・酸味の5種類があり、それぞれ異なる種類の受容体を発現した味細胞によって感知される。
ヒトでは、苦味物質であるフェニルチオカルバミド(以下、PTC)に対する感受性に多様性が存在し、苦味受容体の遺伝子の一つ(以下、遺伝子R)にある遺伝的多型がその原因であることが知られている。ヒトの集団において遺伝子Rの塩基配列を調べたところ、タンパク質のアミノ酸配列を変化させる3か所の一塩基多型(以下、SNP1〜3)があり、その組合せとして4種類の対立遺伝子が見つかった。表1は、それぞれの対立遺伝子から合成される受容体タンパク質のアミノ酸配列の違いを示す。ここでは対立遺伝子の名称として、SNP1〜3によって変化するアミノ酸の組合せを用いた。
表1にある対立遺伝子をホモ接合で持つ複数個体(それぞれの遺伝子型をAAI/AAI,AAV/AAV、AVI/AVI,PAV/PAVとする)と、対立遺伝子AVIとPAVをヘテロ接合で持つ複数個体(AVI/PAVとする)の、PTCに対する感受性を測定した。その結果、それぞれの平均値は図1のようになった。
図1の結果を考察した次の文章中のア・イに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
SNP1〜3のうち、受容体タンパク質の機能への影響が最も小さいアミノ酸の変化に対応するのは、( ア )である。また、PTCに対する感受性(相対値)が0.5以下の場合を「低感受性」と定義すると、対立遺伝子AVIによる低感受性は( イ )形質であるといえる。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問130(生物(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
舌の味覚芽(味蕾)(みらい)に存在する味細胞は、水などに溶けた化学物質を受容し、興奮する。その興奮が(a)神経によって大脳に伝わると、味覚が生じる。味覚には、甘味・うま味・苦味・塩味・酸味の5種類があり、それぞれ異なる種類の受容体を発現した味細胞によって感知される。
ヒトでは、苦味物質であるフェニルチオカルバミド(以下、PTC)に対する感受性に多様性が存在し、苦味受容体の遺伝子の一つ(以下、遺伝子R)にある遺伝的多型がその原因であることが知られている。ヒトの集団において遺伝子Rの塩基配列を調べたところ、タンパク質のアミノ酸配列を変化させる3か所の一塩基多型(以下、SNP1〜3)があり、その組合せとして4種類の対立遺伝子が見つかった。表1は、それぞれの対立遺伝子から合成される受容体タンパク質のアミノ酸配列の違いを示す。ここでは対立遺伝子の名称として、SNP1〜3によって変化するアミノ酸の組合せを用いた。
表1にある対立遺伝子をホモ接合で持つ複数個体(それぞれの遺伝子型をAAI/AAI,AAV/AAV、AVI/AVI,PAV/PAVとする)と、対立遺伝子AVIとPAVをヘテロ接合で持つ複数個体(AVI/PAVとする)の、PTCに対する感受性を測定した。その結果、それぞれの平均値は図1のようになった。
図1の結果を考察した次の文章中のア・イに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
SNP1〜3のうち、受容体タンパク質の機能への影響が最も小さいアミノ酸の変化に対応するのは、( ア )である。また、PTCに対する感受性(相対値)が0.5以下の場合を「低感受性」と定義すると、対立遺伝子AVIによる低感受性は( イ )形質であるといえる。
- ア:SNP1 イ:顕性(優性)
- ア:SNP1 イ:潜性(劣性)
- ア:SNP2 イ:顕性(優性)
- ア:SNP2 イ:潜性(劣性)
- ア:SNP3 イ:顕性(優性)
- ア:SNP3 イ:潜性(劣性)
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この過去問の解説 (2件)
01
1.受容体タンパク質への影響が最も小さいSNP(ア)の特定
図2のPTCに対する感受性の相対値と、表1のアミノ酸配列を比較して、各SNPが起こった際の変化量を計算します。
SNP1の影響:祖先型であるPAV(1.0)から変異が起こってAAV(0.75)になった際の値を比較すると、1.0→0.75と、0.25減少しています。
したがって、影響は大きいといえます。
SNP2の影響:AAI(0.7)から、さらに変異が起こってAVI(0.3)になった際の値を比較すると、値が0.4減少しています。
したがって、影響は大きいといえます。
SNP3の影響:AAV(0.75)から、さらに変異が起こってAAI(0.7)になった際の値を比較すると、値の変化は0.05と極めて小さくなっています。
以上の結果より、受容体タンパク質の機能(感受性)への影響が最も小さいのは、「ア=SNP3」である判断できます。
2.低感受性の形質の遺伝形式(イ)の判定
問題文の定義「感受性が0.5以下を低感受性とする」に基づき、ヘテロ複合体の形質を確認します。
AVI/AVI (ホモ):0.30(低感受性)
PAV/PAV (ホモ):1.0(高感受性)
AVI/PAV (ヘテロ):0.90(高感受性)
AVIを一つだけ持っているヘテロ接合体(AVI/PAV)において、形質が「高感受性」として現れています。
一方で、AVIを2つ持っているホモ接合体では、「低感受性」として現れています。
この結果から、対立遺伝子AVIによる低感受性は、「イ=潜性(劣性)」形質といえます。
正解です。
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02
まず、(ア)を考えましょう。図1を見ると、
・遺伝子型:PAV/PAV、AVI/AVI、AAI/AAI、AAV/AAV
・PTC感受性:約1.0、約0.3、約0.7、約0.75
となっています。
表1からSNPごとの違いを比較します。
です。
SNP3だけ違う組→AAIとAAVの感受性は、0.7と0.75でほぼ同じです。
SNP2だけ違う組→AAIとAVIの感受性は、0.7→0.3と低下。
SNP1だけ違う組→AAVとPAVの感受性は、0.75→1.0上昇。
よって、最も小さいアミノ酸の変化に対応するのは、ア=SNP3となります。
次に、(イ)を考えましょう。
図を見ると、
・AVI/AVI:約0.3→低感受性
・AVI/PAV:約0.9→低感受性ではない
つまり、AVIを1個持っているだけでは低感受性にはなりません。低感受性になるには、AVIを2個持つ必要があります。これを劣性(潜性)と言います。
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