共通テスト(理科) 過去問
令和7年度(2025年度)本試験
問142 (生物(第4問) 問2)
問題文
アフリカツメガエルでは、(a)卵が形成される過程で極体が生じる部域が動物極となり、将来、この動物極側が前側(頭側)になる。卵割が進み胞胚期になると、(b)複数のタンパク質の働きにより背腹軸に沿った中胚葉が誘導される。
下線部(b)に関連して、背腹軸に沿った中胚葉誘導で働くタンパク質Aは、図1に示すように、胞胚期に胚の背側に局在して働く。また、タンパク質Aはタンパク質Bをつくる遺伝子Bの予定内胚葉域での発現を活性化する。その結果、図2に示すように、タンパク質Bの濃度は、背側のほうが腹側より高くなる。さらにタンパク質Bは、中胚葉誘導において、その濃度が高いと背側中胚葉を、低いと腹側中胚葉を誘導する。
中胚葉誘導の仕組みを調べるため、受精卵に、ある操作1を行った後に発生を進ませたところ、誘導された中胚葉は全て腹側中胚葉になった。また、卵割期の胚に別の操作2を行った後に発生を進ませると、誘導された中胚葉は全て背側中胚葉になった。このような現象が、タンパク質Aとタンパク質Bそれぞれの胚内での分布と濃度の変化によって起こるとした場合、それはどのような変化になると推測されるか。最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。なお、タンパク質Aとタンパク質B以外の因子の関与は考慮しないものとする。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
共通テスト(理科)試験 令和7年度(2025年度)本試験 問142(生物(第4問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
アフリカツメガエルでは、(a)卵が形成される過程で極体が生じる部域が動物極となり、将来、この動物極側が前側(頭側)になる。卵割が進み胞胚期になると、(b)複数のタンパク質の働きにより背腹軸に沿った中胚葉が誘導される。
下線部(b)に関連して、背腹軸に沿った中胚葉誘導で働くタンパク質Aは、図1に示すように、胞胚期に胚の背側に局在して働く。また、タンパク質Aはタンパク質Bをつくる遺伝子Bの予定内胚葉域での発現を活性化する。その結果、図2に示すように、タンパク質Bの濃度は、背側のほうが腹側より高くなる。さらにタンパク質Bは、中胚葉誘導において、その濃度が高いと背側中胚葉を、低いと腹側中胚葉を誘導する。
中胚葉誘導の仕組みを調べるため、受精卵に、ある操作1を行った後に発生を進ませたところ、誘導された中胚葉は全て腹側中胚葉になった。また、卵割期の胚に別の操作2を行った後に発生を進ませると、誘導された中胚葉は全て背側中胚葉になった。このような現象が、タンパク質Aとタンパク質Bそれぞれの胚内での分布と濃度の変化によって起こるとした場合、それはどのような変化になると推測されるか。最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。なお、タンパク質Aとタンパク質B以外の因子の関与は考慮しないものとする。
- 操作1を行った後に形成された胞胚では、背側でのタンパク質Aの濃度は腹側より高く、また、その操作を行わない胚のどの部分よりも高くなる。
- 操作1を行った後に形成された初期原腸胚の背側予定内胚葉域のタンパク質Bの濃度は、腹側より高く、その操作を行わない胚の背側より高い。
- 操作2を行った後に形成された胞胚では、その操作を行わない胚の背側と同程度の濃度のタンパク質Aが胚全体に分布する。
- 操作2を行った後に形成された初期原腸胚では、タンパク質Bは、その操作を行わない胚に比べて、胚のどの部分でも減少し、均一に分布する。
正解!素晴らしいです
残念...
画像拡大
この過去問の解説 (2件)
01
この問題のポイントは、発生初期における中胚葉誘導の仕組みを、与えられた仮説に基づいて論理的に考察することです。
問題文に示された中胚葉誘導のメカニズムを整理すると、以下のとおりです。
タンパク質Aの働き:胞胚期の背側に局在し、タンパク質Bを作る遺伝子Bの予定内胚葉での発現を活性化する。
タンパク質Bの働き:タンパク質Aの働きにより、タンパク質Bの濃度は背側で高く、腹側で低くなる。
中胚葉の分化先:タンパク質Bの濃度が高い領域が背側中胚葉に分化し、濃度が低い領域が腹側中胚葉に分化する。
不適当です。
操作1を行ったところ、誘導された中胚葉は全て腹側中胚葉になったことから、タンパク質Bの濃度が低かったといえます。
選択肢の記述が正しいと仮定すると、タンパク質Bの誘導が活性化されることでタンパク質Bの濃度が高くなり、背側中胚葉が誘導されてしまいます。
操作1の結果と矛盾するため、この選択肢の記述は不適当です。
不適当です。
選択肢の記述が正しいと仮定すると、背側中胚葉が誘導されてしまいます。
操作1の結果と矛盾するため、この選択肢の記述は不適当です。
適当です。
操作2の結果、誘導された中胚葉が全て背側中胚葉になりました。
この結果から、胚全体のタンパク質Bの濃度が、本来の背側と同じく高濃度になったといえます。
胚全体に背側と同程度のタンパク質Aが分布する場合、予定内胚葉の全域で遺伝子Bが強く活性化されます。
その結果、胚全体のタンパク質Bが高濃度になり、全ての中胚葉が背側へと誘導されます。
したがって、この選択肢の記述は適当です。
不適当です。
タンパク質Bが減少して均一になれば、全体として低濃度になります。
結果として、全て腹側中胚葉になってしまいます。
操作の結果と矛盾するので、この選択肢の記述は不適当です。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
02
<タンパク質A>
・胞胚期の背側に局在
・遺伝子Bの発現を活性化
<タンパク質B>
・予定内胚葉域で作られる
・背側ほど高濃度、腹側ほど低濃度
・高濃度→背側中胚葉誘導
・低濃度→腹側中胚葉誘導
つまりA→Bの発現促進→B濃度勾配形成→背腹の中胚葉分化
という流れです。
操作1の結果では、「背側中胚葉を誘導するほどのB高濃度領域が存在しない」ことを意味します。よって、
・Aが失われる
・Bが全体的に低濃度になる
ような変化が起きたと考えられます。
操作2の結果では、「誘導された中胚葉は全て背側中胚葉」となっています。つまり、胚全体でBが高濃度になればよい。そのためには、Aが胚全体に存在してB発現をどこでも活性化すればよいということです。
Aが増えればBも増え、むしろ背側中胚葉が増えるはずです。
なので、この選択肢は誤りとなります。
これも背側中胚葉が強く誘導されます。よって、「胚の背側より高い」という点が誤りとなります。
「正常胚の背側と同程度の濃度のAが胚全体に分布する」
すると、
・胚全体で遺伝子Bが活性化
・Bが全体で高濃度
・すべて背側中胚葉
となります。
よって、この選択肢は正しいと言えます。
Bが低濃度なら、全て腹側中胚葉になるはずです。したがって、「Bが全体で減少し均一に分布」という点が誤りとなります。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問141)へ
令和7年度(2025年度)本試験 問題一覧
次の問題(問143)へ