共通テスト(理科) 過去問
令和7年度(2025年度)追・再試験
問130 (生物(第2問) 問3)
問題文
植物は土壌中の無機窒素化合物(硝酸イオンとアンモニウムイオン)を根で吸収し、タンパク質、核酸などの有機窒素化合物に変換する(以下、窒素同化)。植物の成長量(生産量)は、基本的に(a)光合成量と呼吸量によって決まる。(b)生産量は無機窒素化合物の量に依存して増大する。自然の生態系では土壌中の無機窒素化合物は必ずしも多くなく、植物の成長の制限要因となっている。一方で、現代の農業では、化学合成した無機窒素化合物を窒素肥料として大量に使用している。その結果、農作物の生産量は増え、世界の食糧状況は大きく改善したが、(c)大量の窒素肥料の使用が生態系に影響を及ぼしている。
下線部(b)に関連して、植物の成長と無機窒素化合物の供給量との関係を調べるために、実験1を行った。
実験1 イネを、異なる窒素濃度の培地(硝酸イオンとアンモニウムイオンを含む)で一定期間栽培し、葉の光合成速度と呼吸速度、同じ葉のデンプン量および地上部(葉と茎)の乾燥重量を調べたところ、図1の結果が得られた。
(2)図1から、培地中の窒素濃度が高いと葉のデンプン量が少ないことがわかった。その理由として適当なものを、次のうちから二つ選べ。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和7年度(2025年度)追・再試験 問130(生物(第2問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
植物は土壌中の無機窒素化合物(硝酸イオンとアンモニウムイオン)を根で吸収し、タンパク質、核酸などの有機窒素化合物に変換する(以下、窒素同化)。植物の成長量(生産量)は、基本的に(a)光合成量と呼吸量によって決まる。(b)生産量は無機窒素化合物の量に依存して増大する。自然の生態系では土壌中の無機窒素化合物は必ずしも多くなく、植物の成長の制限要因となっている。一方で、現代の農業では、化学合成した無機窒素化合物を窒素肥料として大量に使用している。その結果、農作物の生産量は増え、世界の食糧状況は大きく改善したが、(c)大量の窒素肥料の使用が生態系に影響を及ぼしている。
下線部(b)に関連して、植物の成長と無機窒素化合物の供給量との関係を調べるために、実験1を行った。
実験1 イネを、異なる窒素濃度の培地(硝酸イオンとアンモニウムイオンを含む)で一定期間栽培し、葉の光合成速度と呼吸速度、同じ葉のデンプン量および地上部(葉と茎)の乾燥重量を調べたところ、図1の結果が得られた。
(2)図1から、培地中の窒素濃度が高いと葉のデンプン量が少ないことがわかった。その理由として適当なものを、次のうちから二つ選べ。
- より多くのデンプンが、光化学系の反応に使われた。
- より多くのデンプンが、光合成の電子伝達系の反応に使われた。
- より多くのデンプンが、リブロースビスリン酸(RuBP)の供給に使われた。
- より多くの光合成の生産物が根に共生する根粒菌の増殖に使われ、葉でのデンプンの蓄積が抑えられた。
- より多くの光合成の生産物が窒素同化に使われ、葉でのデンプンの蓄積が抑えられた。
- より多くの光合成の生産物が個体の成長に使われ、葉でのデンプンの蓄積が抑えられた。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題では、窒素濃度が高くなると、なぜ葉のデンプン量が少なくなるのかについて問われています。
まず、植物は光合成によって有機物を作ります。その有機物は、葉にデンプンとして貯蔵されるだけではなく、
・植物体を成長させるために使う
・吸収した無機窒素をアミノ酸などに変化させる窒素同化のために使う
といった用途もあります。
よって、光合成産物をほかの用途にたくさん使えば、その分、葉にデンプンとして残る量は少なくなると考えられます。
これをもとに、各選択肢を見ていきましょう。
光合成では、まず光エネルギーを利用してATPなどのエネルギーを作る反応が起こります。これが光化学系の反応です。
一方、デンプンは光合成によって作られた生産物です。
つまり、「光化学系の反応→光合成産物を作る」という関係であり、デンプンが光化学系の反応の材料として使われるわけではありません。
よって、この選択肢は誤りとなります。
電子伝達系は、光合成の過程でエネルギーを受け渡す反応です。
デンプンはその反応に使われる材料ではありません。
デンプンは光合成によって作られた物質なので、電子伝達系の反応に使われてデンプン量が減る事はありません。
よって、この選択肢は誤りとなります。
リブロースビスリン酸(RuBP)は、光合成の二酸化炭素固定に関係する物質です。
ここで大切なのは、デンプンがリブロースビスリン酸(RuBP)の供給に使われるだけではないということです。
光合成では、二酸化炭素→有機物→デンプン
という方向で物質が作られます。
よって、「デンプンがリブロースビスリン酸(RuBP)の供給に使われたので、デンプン量が減った」というのは、誤りとなります。
根粒菌は、主にマメ科植物に共生する細菌です。
根粒菌は空気中の窒素を利用できる形にする「窒素固定」に関係しています。
しかし、この実験で使っている植物は「イネ」です。
イネにはマメ科植物のような根粒菌との共生はありません。
よって、この選択肢は誤りとなります。
植物は主に土壌から硝酸イオンやアンモニウムイオンを吸収します。
しかし、それらの無機窒素化合物をそのままタンパク質などに利用することはできません。
そこで、無機窒素化合物をアミノ酸などの有機窒素化合物に変える「窒素同化」を行います。
この時、光合成によって作られた有機物やエネルギーが利用されます。
つまり、
窒素濃度が高い→無機窒素化合物を多く吸収する→窒素同化が活発になる→光合成産物が窒素同化に多く使われる→葉にデンプンとして蓄積される量が減る
と考えられます。
よって、この選択肢は正しいと言えます。
図1では、窒素濃度が高くなると地上部の乾燥重量が増加していることが読み取れます。
つまり、窒素を十分に与えると、イネの成長が盛んになったと考えられます。
植物が成長するためには、光合成によって作られた有機物が必要です。
そのため、
窒素濃度が高い→植物の成長が盛んになる→光合成産物のために多く使われる→葉にデンプンとして蓄積される量が減る
と考えられます。
よって、この選択肢は正しいと言えます。
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02
実験結果のグラフから、培地中の窒素濃度が高いにもかかわらず葉のデンプン蓄積量が少なくなる理由を考察する問題です。
不適です。
デンプンは光合成の産物であり、光化学系の反応の材料としては使われません。
不適です。
デンプンは光合成の産物であり、電子伝達系の反応の材料としては使われません。
不適です。
デンプンは光合成の産物であり、RuBPの供給には使われません。
不適です。
根粒菌はマメ科植物に共生するものであり、イネには共生しません。
正解です。
窒素濃度が高いと、吸収した無機窒素化合物をアミノ酸やタンパク質に変換する「窒素同化」が活発になります。
この窒素同化には、有機酸とエネルギー(ATPなど)が必要であり、それらは光合成産物から供給されます。
そのため、多くの光合成産物が窒素同化に使われ、デンプンとして葉に蓄積される量が減ったと考えられます。
正解です。
実験の結果から、窒素濃度が高いと地上部の乾燥重量が増加していることがわかります。
これは、植物体の成長が盛んであることを示しています。
個体の成長のために光合成産物が使われ、デンプンとしての蓄積が抑えられたと考えられます。
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