共通テスト(理科) 過去問
令和7年度(2025年度)追・再試験
問132 (生物(第2問) 問5)
問題文
植物は土壌中の無機窒素化合物(硝酸イオンとアンモニウムイオン)を根で吸収し、タンパク質、核酸などの有機窒素化合物に変換する(以下、窒素同化)。植物の成長量(生産量)は、基本的に(a)光合成量と呼吸量によって決まる。(b)生産量は無機窒素化合物の量に依存して増大する。自然の生態系では土壌中の無機窒素化合物は必ずしも多くなく、植物の成長の制限要因となっている。一方で、現代の農業では、化学合成した無機窒素化合物を窒素肥料として大量に使用している。その結果、農作物の生産量は増え、世界の食糧状況は大きく改善したが、(c)大量の窒素肥料の使用が生態系に影響を及ぼしている。
下線部(c)に関連して、大量の窒素肥料の使用が生態系に及ぼす影響に関する記述として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
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問題
共通テスト(理科)試験 令和7年度(2025年度)追・再試験 問132(生物(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
植物は土壌中の無機窒素化合物(硝酸イオンとアンモニウムイオン)を根で吸収し、タンパク質、核酸などの有機窒素化合物に変換する(以下、窒素同化)。植物の成長量(生産量)は、基本的に(a)光合成量と呼吸量によって決まる。(b)生産量は無機窒素化合物の量に依存して増大する。自然の生態系では土壌中の無機窒素化合物は必ずしも多くなく、植物の成長の制限要因となっている。一方で、現代の農業では、化学合成した無機窒素化合物を窒素肥料として大量に使用している。その結果、農作物の生産量は増え、世界の食糧状況は大きく改善したが、(c)大量の窒素肥料の使用が生態系に影響を及ぼしている。
下線部(c)に関連して、大量の窒素肥料の使用が生態系に及ぼす影響に関する記述として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
- 硝化菌の働きが促進され、土壌中に有機窒素化合物が過剰に蓄積する。
- 生態系内を循環する窒素量が低下して、生産者と消費者の割合が変わる。
- 環境中に流出する無機窒素化合物の量が増え、河川、湖沼、海洋における植物プランクトンの大量発生の原因となる。
- 植物に吸収された窒素肥料が、窒素(N2)として空気中に放出され、大気汚染の原因となる。
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題は、農業における窒素肥料の大量使用が、自然の生態系にどのような影響を及ぼすかについての問題です。
富栄養化が引き起こす環境問題に関する知識が問われています。
不適です。
硝化菌は、無機窒素(アンモニウム)を別の無機窒素(硝酸など)へ変換する過程を担っています。
一方で、有機窒素化合物(タンパク質やアミノ酸など)は主に生物の遺体や排出物由来であり、硝化菌の働きとは直接関係しません。
そのため、「硝化菌の活動が増えると有機窒素が増える」という記述は誤りです。
不適です。
大量の窒素肥料を使用すると、土壌中のアンモニウムイオンや硝酸イオンといった無機窒素が増加し、むしろ生態系内で利用可能な窒素量は増えます。
その結果、生産者である植物は窒素を材料としてアミノ酸やタンパク質を合成しやすくなり、成長が促進されて一次生産量が増加します。
一方で、消費者はその増加した生産者に依存して増減するため、影響は間接的かつ時間差をもって現れます。
したがって、「生態系内を循環する窒素量が低下する」という記述は誤りです。
正解です。
窒素肥料を大量に使用すると、土壌中のアンモニウムイオンや硝酸イオンといった無機窒素が増加し、その一部は降雨などによって河川や湖沼、海洋へ流出します。
これらの無機窒素は植物プランクトンの栄養源となるため、供給量が増加すると植物プランクトンの増殖が促進されます。
特に窒素やリンなどの栄養塩が増えることで富栄養化が起こり、植物プランクトンが異常に増殖する「赤潮」などの現象の原因となります。
したがって、「窒素肥料の大量使用により無機窒素が水域に流出し、植物プランクトンの大量発生を引き起こす」という記述は正しいです。
不適です。
窒素肥料を大量に使用すると、土壌中のアンモニウムイオンや硝酸イオンが増加し、植物はこれらを吸収してアミノ酸やタンパク質などの有機窒素化合物を合成します。
一方、植物に吸収された窒素がそのまま窒素分子(N₂)として空気中に放出されることはありません。
窒素分子が大気中に戻る主な経路は、土壌中の脱窒菌が硝酸イオンを還元してN₂やN₂Oに変える「脱窒作用」であり、これは主に嫌気的条件の土壌中で起こります。
また、窒素分子(N₂)自体は大気の主成分であり、それ自体が大気汚染の原因となることはありません。
むしろ問題となるのは、脱窒の過程で副産物として生じる一酸化二窒素(N₂O)で、これは温室効果ガスとして地球温暖化に関与します。
したがって、「植物に吸収された窒素肥料が窒素(N₂)として空気中に放出され、大気汚染の原因となる」という記述は誤りです。
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