共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問132 (生物(第2問) 問3)
問題文
植物の根は、周囲の水分環境や重力刺激の方向などを感知して、伸長方向を制御している。このような根の伸長方向を制御する仕組みを調べるため、図1に示す装置を組み立て、キュウリの芽生えを用いて、実験1・実験2を行った。用いた装置は、(a)内部に光が透過しない暗箱で、装置内の水分環境を不均一にするために、装置内側の壁には十分に水で湿らせたスポンジ(以下、スポンジ)を、スポンジから離れた床面には吸湿剤を、それぞれ設置した。これにより、スポンジ表面から吸湿剤に向かって湿度が低下する水分環境となった。
実験1
装置のスポンジの面Yに6個のキュウリ種子を固定し、発芽させた。発芽後、根は鉛直下方向に伸びた。根が1cmほど伸びたとき半数の3個体の根冠部分を切除した。そして、0時間、4時間、および9時間後に、図2に示すように、根がスポンジ底面と接する点(以下、接点)と根の先端部を直線で結び、鉛直線となす角度(以下、屈曲角度)を計測した。図3は、根冠部分を切除しなかったときと切除したときの計測結果である。
実験2
装置を宇宙ステーションに運び、微小な重力環境下でキュウリを用いて、根冠部分を切除せずに実験1と同様の実験を行った。その結果、9時間後の屈曲角度は、約50°であった。
水分環境が均一な条件の暗箱で、キュウリ変異体の種子を土壌中に播(ま)いて発芽させたところ、一部の個体の根が、屈曲反応の異常により土から飛び出して様々な方向に伸長した。次の変異体a〜dのうち、このような表現型を示す変異体はどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
a 細胞壁の主成分であるセルロース繊維の方向性を制御する機能が欠失している変異体
b 根冠の細胞に存在するアミロプラストが欠失している変異体
c 根のオーキシン輸送タンパク質の細胞膜での分布を制御する機能が欠失している変異体
d 青色光受容体であるフォトトロピンが欠失している変異体
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問題
共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問132(生物(第2問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
植物の根は、周囲の水分環境や重力刺激の方向などを感知して、伸長方向を制御している。このような根の伸長方向を制御する仕組みを調べるため、図1に示す装置を組み立て、キュウリの芽生えを用いて、実験1・実験2を行った。用いた装置は、(a)内部に光が透過しない暗箱で、装置内の水分環境を不均一にするために、装置内側の壁には十分に水で湿らせたスポンジ(以下、スポンジ)を、スポンジから離れた床面には吸湿剤を、それぞれ設置した。これにより、スポンジ表面から吸湿剤に向かって湿度が低下する水分環境となった。
実験1
装置のスポンジの面Yに6個のキュウリ種子を固定し、発芽させた。発芽後、根は鉛直下方向に伸びた。根が1cmほど伸びたとき半数の3個体の根冠部分を切除した。そして、0時間、4時間、および9時間後に、図2に示すように、根がスポンジ底面と接する点(以下、接点)と根の先端部を直線で結び、鉛直線となす角度(以下、屈曲角度)を計測した。図3は、根冠部分を切除しなかったときと切除したときの計測結果である。
実験2
装置を宇宙ステーションに運び、微小な重力環境下でキュウリを用いて、根冠部分を切除せずに実験1と同様の実験を行った。その結果、9時間後の屈曲角度は、約50°であった。
水分環境が均一な条件の暗箱で、キュウリ変異体の種子を土壌中に播(ま)いて発芽させたところ、一部の個体の根が、屈曲反応の異常により土から飛び出して様々な方向に伸長した。次の変異体a〜dのうち、このような表現型を示す変異体はどれか。その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
a 細胞壁の主成分であるセルロース繊維の方向性を制御する機能が欠失している変異体
b 根冠の細胞に存在するアミロプラストが欠失している変異体
c 根のオーキシン輸送タンパク質の細胞膜での分布を制御する機能が欠失している変異体
d 青色光受容体であるフォトトロピンが欠失している変異体
- a、b
- a、c
- a、d
- b、c
- b、d
- c、d
- a、b、c
- a、b、d
- a、c、d
- b、c、d
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この過去問の解説 (3件)
01
暗箱は光の影響を受けないため、水分は均一に保つことで水分屈性をなくします。
この問題文中実験において影響を見ているのは重力屈性のみであることが分かります。
根が様々な方向に伸長したとありますが、これは重力屈性に異常があるということになります。
以上を踏まえて、根冠にあるアミロプラストは重力を感じる部分、屈折はオーキシンの偏りで起こるものであるため、b,cが正解となります。
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02
まず示されてる水分不均一条件の実験1,2から水分屈性より重力屈性の方が強いという事実が釈けます。
一方で重力が小さくなれば水分屈性により、鉛直上向きに根が伸長することもわかるが、当実験では水分は均一な条件、暗箱内の条件があります。
屈性の主な要件である光刺激、重力刺激、接触刺激、化学物質による刺激、水による刺激のうち、重力刺激以外は考えにくく、考えられるのは、①屈性を行う過程の細胞、ホルモン、などの異常、②重力屈性に異常が生じることであると理解します。
『細胞壁の主成分であるセルロース繊維の方向性を制御する機能が欠失している変異体』、『根のオーキシン輸送タンパク質の細胞膜での分布を制御する機能が欠失している変異体』は①にあたります。セルロースが細胞壁の主成分であること、光屈性や重力屈性がオーキシンの分布により起きていることを理解していれば、与えられた条件では正常な伸長ができないことはわかるはずです。
『根冠の細胞に存在するアミロプラストが欠失している変異体』は②にあたります。『アミロプラスト』は重力を感知し、屈性につなげる物質です。これがなくば、正常な重力屈性、鉛直下向きの伸長が起こらないこともその知識さえあればわかるはずです。
よって、以上の3つが異常のある変異体です。
しかし、『細胞壁の主成分であるセルロース繊維の方向性を制御する機能が欠失している変異体』は本問で問われている『屈曲反応の異常』ではなく、根の伸長に係る異常なので選ばない選択肢となります。
なので正答は『b,c』です。
ちなみに『青色光受容体であるフォトトロピンが欠失している変異体』は、『フォトトロピン』が光屈性における『アミロプラスト』の役割であることを知っていれば、光屈性に異常をもたらすことがわかるはずです。しかし、冒頭に示したように、暗箱条件がすでに光屈性を妨げているため、本問では無関係な選択肢なのです。
設問ごとに情報を整理します。
前の設問の条件のうち、引き継げるものとそうでないもの、それは生物だけではなく、共テであれば理科全般、数学も対照実験のような構成になっているので気を付ける必要があります。
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03
まず、問題文を整理しましょう。
暗箱を使用したのは、光りの影響を排除するため。
実験1・実験2では水分環境を不均一にしたが、変異体を調べる最後の実験では水分環境を均一にする。
根の屈曲方向から地上だと重力環境の方が強く、宇宙だと水分環境の方が強く影響する。
土から根が飛び出して様々な方向に伸びる→重力屈性や伸長方向に異常をきたしている。
以上のことが問題文には書かれています。
次に、各選択肢について特徴をまとめていきましょう。
「細胞壁の主成分であるセルロース繊維の方向性を制御する機能が欠失している変異体」→細胞の伸び方には関わりますが、本問で問われている、重力に応じた屈曲反応の異常を示す変異体としては選びません。
「根冠の細胞に存在するアミロプラストが欠失している変異体」→アミロプラストとは、重力センサーのこと。これを欠失すると、根が鉛直に伸びず、いろいろな方向に伸びてしまいます。
「根のオーキシン輸送タンパク質の細胞膜での分布を制御する機能が欠失している変異体」→オーキシンの分布を適切に変えられなくなるため、根が重力に応じて正常に下向きへ曲がれなくなります。
「青色光受容体であるフォトトロピンが欠失している変異体」→フォトトロピンは、光屈性に関わる物質。今回の実験は、暗箱で行っているため、関係ありません。
根が土から飛び出して、あちこちに伸びるというのは、重力感知や屈曲方向に異常をきたしているからです。根が行きたい方向が分からず、土を突き抜けてぐちゃぐちゃに伸びてしまいます。
この現象は、アミロプラストを欠失し、オーキシン輸送に異常をきたしているからだと言えます。
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