大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問123 (生物(第3問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問123(生物(第3問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読み、後の問いに答えよ。

トゲウオ科の魚の種Aには、主として海洋に棲息する集団(以下、海洋型)と、淡水域に隔離されて棲息し、海洋型から遺伝的に分化した集団(以下、淡水型)とが存在する。海洋型は、図1のように(a)腹びれが棘(とげ)状になった腹棘(ふくきょく)と、胴部によろいのような硬い鱗板(りんばん)とを形成するが、淡水型ではどちらも喪失している。

様々な実験の結果、種Aの淡水型での腹棘の喪失は遺伝子Xが原因であると考えられた。遺伝子Xからつくられるタンパク質Xは調節タンパク質である。また、遺伝子Xから転写されたmRNAは、海洋型の個体では頭部と腹部で観察されたのに対し、淡水型の個体では頭部でのみ観察された。

腹棘の喪失は遺伝子Xが原因であるのに対し、鱗板の喪失は遺伝子Yが原因であることが分かっている。種Aの淡水型は、腹棘も鱗板も喪失しているため、捕食者の多い海洋では生き残りにくい。それにもかかわらず、淡水型は北半球の様々な淡水域に広く分布している。これは、海洋型の集団が、最終氷期に各地の淡水域に進入し、淡水型へと独立に進化したためだと考えられている。

種Aの淡水型を様々な淡水域から集めて、遺伝子X、遺伝子Y、およびそれぞれの遺伝子の周辺の塩基配列を調べたところ、遺伝子Xでは周辺の塩基配列に淡水域ごとに異なる欠失がみられた一方、遺伝子Yおよびその周辺の塩基配列は淡水域間での違いが小さいことが分かった。そこで、様々な海域から集めた海洋型の遺伝子Yの塩基配列を調べたところ、多くの個体では淡水型の塩基配列と大きく異なっていたが、一部の個体は淡水型の塩基配列と海洋型の塩基配列をヘテロ接合で持っていた。これらのことから導かれる腹棘または鱗板の喪失に関する考察として適当でないものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 腹棘の喪失を引き起こした対立遺伝子は、それぞれの淡水域で独立に生じた。
  • 腹棘を欠いた個体は、どの淡水域でも適応的であった。
  • 各地の淡水型の集団に鱗板の喪失を引き起こした対立遺伝子は、もともと一つの対立遺伝子に由来する。
  • 淡水域への進入が始まる前に、鱗板を欠いた個体からなる集団が、ある海域で生じた。
  • 鱗板の喪失を引き起こした対立遺伝子は、海を介して各地の淡水域に広がり、頻度を増していった。

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この過去問の解説 (2件)

01

今回の問題は、問題文中の説明文を読み解くもので、ヘテロ接合体についての知識があれば解く事ができます。

選択肢1. 腹棘の喪失を引き起こした対立遺伝子は、それぞれの淡水域で独立に生じた。

「遺伝子Xでは周辺の塩基配列に淡水域ごとに異なる欠失がみられた」とあるので、正しい事がわかります。

選択肢2. 腹棘を欠いた個体は、どの淡水域でも適応的であった。

「遺伝子Xでは周辺の塩基配列に淡水域ごとに異なる欠失がみられた」の記述から、適応的である事が判断できます。

選択肢3. 各地の淡水型の集団に鱗板の喪失を引き起こした対立遺伝子は、もともと一つの対立遺伝子に由来する。

「遺伝子Yおよびその周辺の塩基配列は淡水域間での違いが小さいことが分かった。」とあるので、これは一つの対立遺伝子に由来しています。

選択肢4. 淡水域への進入が始まる前に、鱗板を欠いた個体からなる集団が、ある海域で生じた。

冒頭に淡水型は海洋で生き残りにくい,とあるので集団で存在することは考えにくいです。冒頭説明にもある通り、海洋型が淡水域に侵入し、独立に進化していきました。

選択肢5. 鱗板の喪失を引き起こした対立遺伝子は、海を介して各地の淡水域に広がり、頻度を増していった。

「遺伝子Yおよびその周辺の塩基配列は淡水域間での違いが小さいことが分かった。」とあるので、個別に遺伝子が変化したのではない事がわかります。

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02

海洋型の多くは淡水型と異なる配列ですが、一部の海洋型が淡水型と同じ対立遺伝子をヘテロ接合で持ちます。これは、鱗板喪失個体だけの集団が海で成立していた証拠にあたりません。海洋では鱗板は必要なので、鱗板喪失個体が集団として成立するのは考えにくいです。

そのため、「水域への進入が始まる前に、鱗板を欠いた個体からなる集団が、ある海域で生じた。」は誤りです。

選択肢2. 腹棘を欠いた個体は、どの淡水域でも適応的であった。

淡水型はどの淡水域でも腹棘を欠いており、淡水環境では腹棘が不要であったと考えられます。そのため、適当です。

選択肢5. 鱗板の喪失を引き起こした対立遺伝子は、海を介して各地の淡水域に広がり、頻度を増していった。

海洋型の一部が淡水型と同じ対立遺伝子を持つことから、海洋集団内に低頻度で存在していた対立遺伝子が、淡水域に入ったときに選択されて広がったと考えられます。そのため、適当です。

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