共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問110 (化学(第4問) 問3)

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問題

共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問110(化学(第4問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

天然高分子化合物および合成高分子化合物に関する記述として下線部に誤りを含むものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
  • タンパク質はα―アミノ酸R-CH(NH2)-COOHから構成され、その置換基Rどうしが相互にジスルフィド結合やイオン結合などを形成することで、各タンパク質に特有の三次構造に折りたたまれる。
  • タンパク質が強酸や加熱によって変性するのは、高次構造が変化するためである。
  • アセテート繊維は、トリアセチルセルロースを部分的に加水分解した後、紡糸して得られる。
  • 天然ゴムを空気中に放置しておくと、分子中の二重結合が酸化されて弾性を失う。
  • ポリエチレンテレフタラートとポリ乳酸は、それぞれ完全に加水分解されると、いずれも1種類の化合物になる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正誤問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

選択肢1. タンパク質はα―アミノ酸R-CH(NH2)-COOHから構成され、その置換基Rどうしが相互にジスルフィド結合やイオン結合などを形成することで、各タンパク質に特有の三次構造に折りたたまれる。

これは正しいです。

タンパク質はペプチド結合で複数のアミノ酸が繋がっている巨大分子の事であり、アミノ酸の直線で並べた時の順番を示したものが「一次構造」、アミノ酸同士の水素結合によってらせん構造のα-ヘリックスや平面構造のβ-シートの形をとったものが「二次構造」であり、二次構造を作ったタンパク質がさらに側鎖(R-)の相互作用によって高次構造をとったものが「三次構造」になります。

選択肢2. タンパク質が強酸や加熱によって変性するのは、高次構造が変化するためである。

これは正しいです。

タンパク質は側鎖間の相互作用によって複雑な高次構造をとっているため、強酸や加熱によって相互作用が弱まり変性し、性質が変化します。

選択肢3. アセテート繊維は、トリアセチルセルロースを部分的に加水分解した後、紡糸して得られる。

これは正しいです。

アセテート繊維はセルロース([C6H10O5]n)をアセチル化してトリアセチルセルロース([C6H7O2(OCOCH3)3]n)を生成し、一部-OCOCH3を加水分解してジアセチルセルロースを生成します。

その後、アセトンに溶解させ、加工することでアセテート繊維が得られます。

選択肢4. 天然ゴムを空気中に放置しておくと、分子中の二重結合が酸化されて弾性を失う。

これは正しいです。

天然ゴムの主成分となるポリイソプレンはジエン系高分子であり、

[CH2-CH=CX-CH2]n(ポリイソプレンではX:CH3)

上記の構造の繰り返しで結合しており、空気によって構造中の二重結合が酸化され弾性を失います。

選択肢5. ポリエチレンテレフタラートとポリ乳酸は、それぞれ完全に加水分解されると、いずれも1種類の化合物になる。

これは誤りです。

ポリエチレンテレフタラートはテレフタル酸とエチレングリコールが縮合重合した高分子化合物であるため、加水分解によって得られる化合物は2種類になります。

ポリ乳酸は乳酸が縮合重合した高分子化合物であり、加水分解によって得られる化合物は1種類になります。

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02

高分子化合物についての問題です。

構造式を書くことで、分解した後の物質が分かりやすくなります。

選択肢1. タンパク質はα―アミノ酸R-CH(NH2)-COOHから構成され、その置換基Rどうしが相互にジスルフィド結合やイオン結合などを形成することで、各タンパク質に特有の三次構造に折りたたまれる。

タンパク質はアミノ酸が結合してできる物質で、

一次構造、二次構造、三次構造、四次構造があります。

そのうちの三次構造とはアミノ酸の置換基が全体で結合して折りたたまれている状態のことです。

なのでこの文章は正しいです。

選択肢2. タンパク質が強酸や加熱によって変性するのは、高次構造が変化するためである。

タンパク質は加熱することで結合が切断されます。

それによって変性します。

よってこの文章は正しいです。

選択肢3. アセテート繊維は、トリアセチルセルロースを部分的に加水分解した後、紡糸して得られる。

トリアセチルセルロースはセルロースを無水酢酸でアセチル化することで得られます。

そのうちのOCOCH3を加水分解することでジアセチルセルロースにしてアセトンに溶解します。

その後、糸状に加工してアセトンを蒸発させることでアセテートが得られます。

よってこの文章は正しいです。

選択肢4. 天然ゴムを空気中に放置しておくと、分子中の二重結合が酸化されて弾性を失う。

天然ゴムは二重結合を含み、その部分が酸化されることがあります。

それによって分子鎖が切断されることによって弾性が失われます。

よってこの文章は正しいです。

選択肢5. ポリエチレンテレフタラートとポリ乳酸は、それぞれ完全に加水分解されると、いずれも1種類の化合物になる。

ポリエチレンテレフタラート(PET)を加水分解するとテレフタル酸とエチレングリコールが生成されます。

ポリ乳酸(PLA)を加水分解されると乳酸のみ生成されます。

よってこの文章は誤りなのでこの選択肢が正解です。

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03

高分子に関する問題です。

とっつきにくい化合物名が登場しますが、化合物名と構造式がわかるようになると解けるようになります。

選択肢1. タンパク質はα―アミノ酸R-CH(NH2)-COOHから構成され、その置換基Rどうしが相互にジスルフィド結合やイオン結合などを形成することで、各タンパク質に特有の三次構造に折りたたまれる。

正しい文章です。

たんぱく質は様々な種類のアミノ酸がペプチド結合でつながったポリマーです。

 一次構造:アミノ酸がペプチド結合で直線状につながった状態
 二次構造:ペプチド結合どうしが水素結合を形成し

       α-ヘリックス構造(らせん状)またはβ-シート構造(平行)を形成した状態
 三次構造:アミノ酸の置換基どうしが結合を形成することで全体が折り畳まれた状態
 四次構造:三次構造が複数集まってひとまとまりになった状態

選択肢2. タンパク質が強酸や加熱によって変性するのは、高次構造が変化するためである。

正しい文章です。
高次構造を形成する水素結合やジスルフィド結合などが切れることによって

たんぱく質は変性します。
 

選択肢3. アセテート繊維は、トリアセチルセルロースを部分的に加水分解した後、紡糸して得られる。

正しい文章です。
アセチルセルロースをアセトンに溶かした液体を小さい穴から吐出し

アセトンを蒸発させるとアセテート繊維ができます。

このとき実は、トリアセチルセルロースはアセトンに溶けません。

アセチル基とアセトンは性質が離れているため馴染みが悪いのです。

そこで、アセチル基を加水分解し、アセトンと馴染みのよい水酸基へ変換します。

選択肢4. 天然ゴムを空気中に放置しておくと、分子中の二重結合が酸化されて弾性を失う。

正しい文章です。
天然ゴムの成分はイソプレンが重合したポリイソプレンです。

ポリイソプレンは二重結合を含み、この二重結合が酸化されることで

天然ゴムは劣化します。


 

選択肢5. ポリエチレンテレフタラートとポリ乳酸は、それぞれ完全に加水分解されると、いずれも1種類の化合物になる。

誤った文章です。


ポリエチレンテレフタレートを加水分解すると、エチレングリコールとテレフタル酸が

生成します。

ポリエチレンテレフタレート(PET)は2種類の原料から作られます。

 

ポリ乳酸を加水分解すると乳酸になります。
乳酸は1つの炭素に-COOH、-H、-OH、-CH3が結合しています。

炭素に結合している置換基の種類がすべて異なるため

この炭素は不斉炭素であり、乳酸は鏡像異性体(D体,L体)をもちます。
ポリ乳酸を加水分解するとD-乳酸とL-乳酸の2種類ができます。

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