大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問139 (生物(第4問) 問3)
問題文
一般的に働きアリ(以下、アリ)は、餌を見つけると、腹部から分泌される道標(みちしるべ)aフェロモンを地面に付けながら、巣と餌場との間を往復して餌を運ぶ。同じ巣のほかのアリが、これをたどりながら巣と餌場の行き来を繰り返すと、徐々にアリの行列ができる。アリの行列の形成過程における道標フェロモンの役割を調べるため、実験1・実験2を行った。
実験1
アリの巣と餌場との間を、図1のような二つの通路(通路A,通路B)でつないだ。しばらくすると、アリの行列が観察された。条件Ⅰでは通路Aと通路Bの長さを同じにし、条件Ⅱでは通路Aよりも通路Bを長くした。実験開始から30分経過した後に、通路Aと通路Bを通行しているアリの数を10分間記録した。条件Ⅰと条件Ⅱで各20回の試行を行い、両通路のうち通路Aを通行しているアリの割合が0―20%,20―40%,40―60%,60―80%,80―100%であることが観察された回数をそれぞれ数えたところ、表1の結果が得られた。図2は、条件Ⅰでの通路Aの通行率と、そのときの通路上のアリの分布の例を示したものである。なお、実験中のアリは巣と餌場の周囲以外では通路上のみを通行できるものとする。
実験2
図3左のように、通路Cだけが存在する状態で実験1と同様の実験を行った。行列ができて30分後に、図3右のように通路Cより短い通路Dを追加し、その後、各通路を通行するアリの数を10分間記録した。その結果、通路Dを通行するアリが少数観察されたが、ほとんどの試行で多くのアリが通路Cを通行する状態が続いた。なお、実験を通じて餌は十分にあり、アリは餌を運び続けた。
実験1・実験2の結果から導かれる次の考察文中のア〜エに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
実験1の条件Ⅱで得られた結果は、試行開始後、単位距離当たりのアリの通行量が、通路( ア )で多く、その後も個々のアリが道標フェロモン濃度のより高い通路を通行し続けたことによるものと考えられる。
実験2のほとんどの試行では、通路Dが新たに追加された後、少数のアリが通路Dを通行し、餌場にたどり着くと道標フェロモンを通路Dに付けた。しかし、通路Dは通路Cよりも道標フェロモンの濃度が相対的に( イ )状態が続くので、多くのアリが通路Cを通行し続け、通路Cの道標フェロモンは濃度が相対的に( ウ )状態が続いたと考えられる。いずれの実験結果も( エ )のフィードバックで説明できる。
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問題
大学入学共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問139(生物(第4問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
一般的に働きアリ(以下、アリ)は、餌を見つけると、腹部から分泌される道標(みちしるべ)aフェロモンを地面に付けながら、巣と餌場との間を往復して餌を運ぶ。同じ巣のほかのアリが、これをたどりながら巣と餌場の行き来を繰り返すと、徐々にアリの行列ができる。アリの行列の形成過程における道標フェロモンの役割を調べるため、実験1・実験2を行った。
実験1
アリの巣と餌場との間を、図1のような二つの通路(通路A,通路B)でつないだ。しばらくすると、アリの行列が観察された。条件Ⅰでは通路Aと通路Bの長さを同じにし、条件Ⅱでは通路Aよりも通路Bを長くした。実験開始から30分経過した後に、通路Aと通路Bを通行しているアリの数を10分間記録した。条件Ⅰと条件Ⅱで各20回の試行を行い、両通路のうち通路Aを通行しているアリの割合が0―20%,20―40%,40―60%,60―80%,80―100%であることが観察された回数をそれぞれ数えたところ、表1の結果が得られた。図2は、条件Ⅰでの通路Aの通行率と、そのときの通路上のアリの分布の例を示したものである。なお、実験中のアリは巣と餌場の周囲以外では通路上のみを通行できるものとする。
実験2
図3左のように、通路Cだけが存在する状態で実験1と同様の実験を行った。行列ができて30分後に、図3右のように通路Cより短い通路Dを追加し、その後、各通路を通行するアリの数を10分間記録した。その結果、通路Dを通行するアリが少数観察されたが、ほとんどの試行で多くのアリが通路Cを通行する状態が続いた。なお、実験を通じて餌は十分にあり、アリは餌を運び続けた。
実験1・実験2の結果から導かれる次の考察文中のア〜エに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
実験1の条件Ⅱで得られた結果は、試行開始後、単位距離当たりのアリの通行量が、通路( ア )で多く、その後も個々のアリが道標フェロモン濃度のより高い通路を通行し続けたことによるものと考えられる。
実験2のほとんどの試行では、通路Dが新たに追加された後、少数のアリが通路Dを通行し、餌場にたどり着くと道標フェロモンを通路Dに付けた。しかし、通路Dは通路Cよりも道標フェロモンの濃度が相対的に( イ )状態が続くので、多くのアリが通路Cを通行し続け、通路Cの道標フェロモンは濃度が相対的に( ウ )状態が続いたと考えられる。いずれの実験結果も( エ )のフィードバックで説明できる。
- ア:A イ:高い ウ:低い エ:正
- ア:A イ:高い ウ:低い エ:負
- ア:A イ:低い ウ:高い エ:正
- ア:A イ:低い ウ:高い エ:負
- ア:B イ:高い ウ:低い エ:正
- ア:B イ:高い ウ:低い エ:負
- ア:B イ:低い ウ:高い エ:正
- ア:B イ:低い ウ:高い エ:負
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