大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問148 (生物(第5問) 問3)
問題文
生命の誕生について、物質とエネルギーの両面から考えよう。生物は有機物から構成される。生物は有機物をつくることができるが、地球に誕生した最初の生命体を構成していた有機物は、生物によらずに化学的に生成したに違いない。そのような考え方に基づき、生命に必要な物質が生命の出現以前に生成されていったであろう過程が研究されている。この過程を(a)化学進化という。
他方、生命活動にはエネルギーが必要である。生物におけるエネルギーの獲得は、かつては光合成が全ての基盤になっていると考えられていた。しかし、1977年に、深海底から熱水が噴出する場所で、光合成に依存しない生物群集が発見された。この生物群集の生命活動のエネルギーを支えているのは、(b)化学合成細菌であった。この発見をもとに、一部の研究者は、(c)地球上に誕生した初期の生命体は、化学合成によってエネルギーを得ていた、という仮説を提唱した。この仮説のとおり、初期の生命体が化学合成によって栄養を得ていた独立栄養生物であったにしろ、あるいはそうではなく、体外から栄養を取り入れる従属栄養生物であったにしろ、初期生命体が生まれた後、(d)酸素を発生する光合成生物が現れ、更に(e)酸素を用いて呼吸をする生物が出現することで、地球上の生命は急速に多様化し、繁栄の道をたどっていった。
下線部(c)に関連して、地球上の初期の生命体が、ほかの生物の有機物に依存しない独立栄養生物であった場合にも、従属栄養生物であった場合と同様に、その誕生の前には化学進化の過程が必要であったと考えられる。その理由として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問148(生物(第5問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
生命の誕生について、物質とエネルギーの両面から考えよう。生物は有機物から構成される。生物は有機物をつくることができるが、地球に誕生した最初の生命体を構成していた有機物は、生物によらずに化学的に生成したに違いない。そのような考え方に基づき、生命に必要な物質が生命の出現以前に生成されていったであろう過程が研究されている。この過程を(a)化学進化という。
他方、生命活動にはエネルギーが必要である。生物におけるエネルギーの獲得は、かつては光合成が全ての基盤になっていると考えられていた。しかし、1977年に、深海底から熱水が噴出する場所で、光合成に依存しない生物群集が発見された。この生物群集の生命活動のエネルギーを支えているのは、(b)化学合成細菌であった。この発見をもとに、一部の研究者は、(c)地球上に誕生した初期の生命体は、化学合成によってエネルギーを得ていた、という仮説を提唱した。この仮説のとおり、初期の生命体が化学合成によって栄養を得ていた独立栄養生物であったにしろ、あるいはそうではなく、体外から栄養を取り入れる従属栄養生物であったにしろ、初期生命体が生まれた後、(d)酸素を発生する光合成生物が現れ、更に(e)酸素を用いて呼吸をする生物が出現することで、地球上の生命は急速に多様化し、繁栄の道をたどっていった。
下線部(c)に関連して、地球上の初期の生命体が、ほかの生物の有機物に依存しない独立栄養生物であった場合にも、従属栄養生物であった場合と同様に、その誕生の前には化学進化の過程が必要であったと考えられる。その理由として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 無機物からエネルギーを取り出す代謝には、光のエネルギーは必ずしも必要ではないため。
- 有機物を合成する代謝には、エネルギーが必要であるため。
- 有機物を合成する代謝の仕組み自体に、有機物が必要であるため。
- 有機物から代謝で取り出せるエネルギーの大きさが、有機物の種類によって異なるため。
- 有機物を分解する代謝には、無機物が生じる反応があるため。
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この過去問の解説 (1件)
01
まず、独立栄養生物とは、自分で有機物を作る生物のことで、二酸化炭素などの無機物から有機物を合成します。そして、従属栄養生物とは、他の生物の有機物に依存する生物で、他の生物が作った有機物を利用している生物のことです。
これをもとに各選択肢を見ていきましょう。
これは、光合成ではない化学合成のことを示しています。
化学進化の必要性の理由になっていないので、誤りとなります。
独立栄養生物が自分で有機物を作るには、無機物から有機物を作るためのエネルギーが必要となるのは正しいです。
しかし、この問題で問われているのは、「化学進化の過程が必要だった理由」です。
代謝にエネルギーが必要なのは正しいですが、独立栄養生物が登場する理由にはならないので誤りとなります。
独立栄養生物であっても、自分で有機物を作るためには代謝経路が必要となります。それには、最低限の有機分子が必要となります。つまり、化学進化によって無機物から有機分子が蓄積される環境が無いと独立栄養生物は成立しません。
よって、代謝を成立させるために有機物が必要で、化学進化が不可欠なので、この選択肢は正しいと言えます。
エネルギーの大きさは有機物から代謝で取り出せるエネルギーの大きさによって異なるというのは正しいです。しかし、エネルギー量の違いは、化学進化の過程と関連はないので誤りとなります。
まず、この問題文は、「初期の生命体が独立生物だった場合、なぜ誕生前に化学進化が必要だったのか」を問題としています。
そもそも化学進化とは、生物が存在しない段階で、無機物から有機物が科学的に生成される過程のことです。
初期の生命体が独立栄養生物だった場合でも、生命を構成する有機物はあらかじめ非生物的に生成していないといけません。そのため、有機物を分解して無機物が生じる代謝の反応の存在は、有機物の生成過程を説明するものでは無く、化学進化が必要である理由にならないため誤りとなります。
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