大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問150 (生物(第5問) 問5)
問題文
生命の誕生について、物質とエネルギーの両面から考えよう。生物は有機物から構成される。生物は有機物をつくることができるが、地球に誕生した最初の生命体を構成していた有機物は、生物によらずに化学的に生成したに違いない。そのような考え方に基づき、生命に必要な物質が生命の出現以前に生成されていったであろう過程が研究されている。この過程を(a)化学進化という。
他方、生命活動にはエネルギーが必要である。生物におけるエネルギーの獲得は、かつては光合成が全ての基盤になっていると考えられていた。しかし、1977年に、深海底から熱水が噴出する場所で、光合成に依存しない生物群集が発見された。この生物群集の生命活動のエネルギーを支えているのは、(b)化学合成細菌であった。この発見をもとに、一部の研究者は、(c)地球上に誕生した初期の生命体は、化学合成によってエネルギーを得ていた、という仮説を提唱した。この仮説のとおり、初期の生命体が化学合成によって栄養を得ていた独立栄養生物であったにしろ、あるいはそうではなく、体外から栄養を取り入れる従属栄養生物であったにしろ、初期生命体が生まれた後、(d)酸素を発生する光合成生物が現れ、更に(e)酸素を用いて呼吸をする生物が出現することで、地球上の生命は急速に多様化し、繁栄の道をたどっていった。
下線部(e)に関連して、酵母のなかまの多くはアルコール発酵(以下、発酵)によってエネルギーを得ることができる一方、酸素を用いた呼吸によりエネルギーを得ることもできる。そのうちの多くの種では、グルコースが十分に存在すると、酸素の存在下でも発酵によってエネルギーを得る。その理由に関する次の考察文中のア〜ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
グルコース1分子当たりに合成されるATP量(ATP合成の効率)は発酵のほうが呼吸よりも( ア )。また、グルコースが十分に存在する条件でのATP合成の最大速度(単位時間当たりに合成可能なATP量)は、発酵のほうが呼吸よりも速い。このため、細胞分裂の頻度が( イ )ときなど、単位時間当たりに獲得できるエネルギー量が重要となる条件では、たとえ酸素が存在する条件であっても、呼吸よりも発酵でエネルギーを得るほうが有利になると考えられる。ただし、発酵により解糖系の産物が( ウ )されてできたエタノールは、多くの微生物の生育を阻害するため、ほかの微生物との競争関係において発酵を行うことが利点になっている可能性も考えられる。
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問題
大学入学共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問150(生物(第5問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
生命の誕生について、物質とエネルギーの両面から考えよう。生物は有機物から構成される。生物は有機物をつくることができるが、地球に誕生した最初の生命体を構成していた有機物は、生物によらずに化学的に生成したに違いない。そのような考え方に基づき、生命に必要な物質が生命の出現以前に生成されていったであろう過程が研究されている。この過程を(a)化学進化という。
他方、生命活動にはエネルギーが必要である。生物におけるエネルギーの獲得は、かつては光合成が全ての基盤になっていると考えられていた。しかし、1977年に、深海底から熱水が噴出する場所で、光合成に依存しない生物群集が発見された。この生物群集の生命活動のエネルギーを支えているのは、(b)化学合成細菌であった。この発見をもとに、一部の研究者は、(c)地球上に誕生した初期の生命体は、化学合成によってエネルギーを得ていた、という仮説を提唱した。この仮説のとおり、初期の生命体が化学合成によって栄養を得ていた独立栄養生物であったにしろ、あるいはそうではなく、体外から栄養を取り入れる従属栄養生物であったにしろ、初期生命体が生まれた後、(d)酸素を発生する光合成生物が現れ、更に(e)酸素を用いて呼吸をする生物が出現することで、地球上の生命は急速に多様化し、繁栄の道をたどっていった。
下線部(e)に関連して、酵母のなかまの多くはアルコール発酵(以下、発酵)によってエネルギーを得ることができる一方、酸素を用いた呼吸によりエネルギーを得ることもできる。そのうちの多くの種では、グルコースが十分に存在すると、酸素の存在下でも発酵によってエネルギーを得る。その理由に関する次の考察文中のア〜ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
グルコース1分子当たりに合成されるATP量(ATP合成の効率)は発酵のほうが呼吸よりも( ア )。また、グルコースが十分に存在する条件でのATP合成の最大速度(単位時間当たりに合成可能なATP量)は、発酵のほうが呼吸よりも速い。このため、細胞分裂の頻度が( イ )ときなど、単位時間当たりに獲得できるエネルギー量が重要となる条件では、たとえ酸素が存在する条件であっても、呼吸よりも発酵でエネルギーを得るほうが有利になると考えられる。ただし、発酵により解糖系の産物が( ウ )されてできたエタノールは、多くの微生物の生育を阻害するため、ほかの微生物との競争関係において発酵を行うことが利点になっている可能性も考えられる。
- ア:多い イ:高い ウ:酸化
- ア:多い イ:高い ウ:還元
- ア:多い イ:低い ウ:酸化
- ア:多い イ:低い ウ:還元
- ア:少ない イ:高い ウ:酸化
- ア:少ない イ:高い ウ:還元
- ア:少ない イ:低い ウ:酸化
- ア:少ない イ:低い ウ:還元
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