大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問138 (生物(第2問) 問2)
問題文
ヒトでは、3種類の錐体細胞が色覚を担っている。各錐体細胞には光に反応する物質(視物質)が1種類ずつ存在し、3種類の視物質はそれぞれ異なる波長の光に反応する。これら3種類の視物質それぞれをつくる三つの遺伝子のうち、一つは常染色体に存在する。残りの二つはX染色体上に並んで存在し、(a)遺伝子重複によって生じたと考えられている。他方、多くの哺乳類では、この遺伝子重複が起こっていないため、視物質をつくる遺伝子がX染色体上には一つしかなく、2種類の視物質からなる二色型色覚になっている。(b)ノドジロオマキザルという霊長類の一種では、X染色体における遺伝子の重複は起こっていないにもかかわらず、二色型色覚の個体(以下、二色型)と三色型色覚の個体(以下、三色型)とが共存している。ノドジロオマキザルでは、X染色体上の一つの遺伝子座に複数の対立遺伝子があり、それぞれの対立遺伝子は互いに異なる色に対応するため、X染色体の遺伝子座がヘテロ接合になっている個体は、三色型になる。なお、ノドジロオマキザルは、ヒトと同じ性決定様式を持つ。
下線部(b)に関連して、動物の色覚にはその生態が関与している可能性がある。ノドジロオマキザルは森に棲(す)み、視覚を使って食物となる昆虫や果実を見つける。図1は明るさの違う場所での昆虫の発見効率を、図2は果実の色の違いによる果実の発見効率を、二色型と三色型との間で比較した結果である。ここで、食物の発見効率が個体の生存に関連するとしたとき、X染色体の遺伝子座における遺伝子型を踏まえて、図1と図2から導かれる推論として適当なものを、後の選択肢のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。なお、食物の発見効率は性によらないものとし、果実の発見効率は明るさによらないものとする。新たな突然変異や遺伝子重複は考えないこととする。
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問題
大学入学共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問138(生物(第2問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
ヒトでは、3種類の錐体細胞が色覚を担っている。各錐体細胞には光に反応する物質(視物質)が1種類ずつ存在し、3種類の視物質はそれぞれ異なる波長の光に反応する。これら3種類の視物質それぞれをつくる三つの遺伝子のうち、一つは常染色体に存在する。残りの二つはX染色体上に並んで存在し、(a)遺伝子重複によって生じたと考えられている。他方、多くの哺乳類では、この遺伝子重複が起こっていないため、視物質をつくる遺伝子がX染色体上には一つしかなく、2種類の視物質からなる二色型色覚になっている。(b)ノドジロオマキザルという霊長類の一種では、X染色体における遺伝子の重複は起こっていないにもかかわらず、二色型色覚の個体(以下、二色型)と三色型色覚の個体(以下、三色型)とが共存している。ノドジロオマキザルでは、X染色体上の一つの遺伝子座に複数の対立遺伝子があり、それぞれの対立遺伝子は互いに異なる色に対応するため、X染色体の遺伝子座がヘテロ接合になっている個体は、三色型になる。なお、ノドジロオマキザルは、ヒトと同じ性決定様式を持つ。
下線部(b)に関連して、動物の色覚にはその生態が関与している可能性がある。ノドジロオマキザルは森に棲(す)み、視覚を使って食物となる昆虫や果実を見つける。図1は明るさの違う場所での昆虫の発見効率を、図2は果実の色の違いによる果実の発見効率を、二色型と三色型との間で比較した結果である。ここで、食物の発見効率が個体の生存に関連するとしたとき、X染色体の遺伝子座における遺伝子型を踏まえて、図1と図2から導かれる推論として適当なものを、後の選択肢のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。なお、食物の発見効率は性によらないものとし、果実の発見効率は明るさによらないものとする。新たな突然変異や遺伝子重複は考えないこととする。
- 果実が存在し、昆虫は存在しない場合、三色型が生存に不利になるだろう。
- 昆虫が存在し、果実は存在しない場合、二色型が生存に有利になるだろう。
- 暗い場所のみが存在し、果実は赤黄色のみが存在する場合、雌と雄のそれぞれに二色型と三色型が共存するだろう。
- 明るい場所のみが存在し、果実は赤黄色のみが存在する場合、世代を経ると三色型が増え、最終的に全ての個体が三色型になるだろう。
- 明るい場所のみが存在し、果実は赤黄色と緑色が混在する場合、世代を経ても二色型と三色型の共存が維持されるだろう。
- 明るい場所のみが存在し、果実は緑色のみが存在する場合、世代を経ると三色型の頻度は増加し、二色型の頻度は減少するだろう。
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題で最初に押さえておくべきポイントは、XY型の性決定様式です。XY型では、常染色体に加えX染色体を二つ持っていると雌、常染色体に加えX、Yの染色体を一つずつ持っている場合は雄になります。
条件を分けて考えます。①果実が存在→図2より、緑色では差がありませんが、赤黄色の果実では三色型の方が有利です。②昆虫が存在しない→三色型は暗い場所があっても、暗い場所で虫発見に有利な二色型と差がつきません。→引き分け三色型が不利になることはないので、これは誤り。
条件を分けて考えます。①昆虫存在→二色型有利②果実存在しない→引き分け、となりますのでこれは総合的に見て二色型が有利になります。これは正しい。
条件を分けて考えます。①暗い場所→二色型有利②果実赤黄色のみ→三色型有利となりますが、後続の文「雄と雌のそれぞれに二色型と三色型が共存するだろう」が誤っています。三色型が存在するのは雌のみです。xy型の性決定の様式を思い出してください、X染色体がホモ接合になっている雌でしか三色型になることはあり得ないのです。これは誤り。
条件を分けて考えます。①明るい場所のみが存在→引き分け②果実赤黄色→三色型が有利、、となります。しかしながら,最終的に全てが三色型になることはあり得ません。何故なら、XY型性決定の様式上、雄が三色型になる事はあり得ないからです。これは誤り。
条件を分けて考えます。①明るい場所→引き分け②果実混在→三色型有利、となります。三色型が占める様に思いますが、ここで注意するのは共存という点です。XY型性決定の様式上ヘテロ型の雌の交尾により必ずXY型雄が生まれるので完全に二色型が消えることはありません。また雌も一定確率で二色型が生まれます。よってこれは正しい。
条件を分けて考えます。①明るい場所→引き分け②果実緑のみ→引き分け、となるので生存上どちらかが有利になることはありません。よって頻度変化しないので、これは誤り。
今回は図の読み取りだけでなく、XY型性決定の様式の知識についても問う問題でした。生物の性決定様式にはXY型以外にも雄の性染色体がヘテロになる決定様式などありますので、余裕があれば網羅するのがおすすめです。
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