大学入学共通テスト(理科) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問144 (生物(第3問) 問3)
問題文
太陽からの直射光が到達する場所の光環境(以下、日なた)に対して、葉に覆われて陰になっている場所の光環境(以下、葉陰(はかげ))は異なる。(a)植物は、このような周囲の光環境の違いを種々の光受容体により感知して、光環境に応答しながら生きている。
光環境は、細胞内での葉緑体の分布にも影響を与える。そこで、光環境を変えたときに葉緑体の分布がどのように変化するかを調べるため、実験1を行った。
実験1 日なたで生育させたシロイヌナズナを、よく晴れた日の正午に葉陰に移した(処理1)。そのシロイヌナズナを、翌日の正午に葉陰から日なたに再び移して3時間置いた(処理2)。図1はこの処理を模式的に表したものである。図2は、葉緑体の分布を観察した細胞の模式図である。また図3は、処理1を施す前、処理1終了直後、および処理2終了直後のそれぞれについて、細胞内の葉緑体の分布を模式的に示したものである。
光環境の違いにより葉緑体の分布が変化する仕組みと生理的な意味を調べるため、実験2・実験3を行った。実験1~3の結果から導かれる考察として適当でないものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
実験2 光受容体のどれか1種類を欠失した種々のシロイヌナズナ変異体に、実験1と同様の処理1・処理2を施し、葉肉細胞内の葉緑体の分布を観察した。その結果、青色光受容体であるフォトトロピンを欠失した変異体のみが、光環境の違いによる葉緑体の分布の変化を示さなかった。
実験3 シロイヌナズナの野生型と、葉緑体が細胞上面と細胞底面に分布して動かない変異体Q、および細胞の側面に分布して動かない変異体Rを、あらかじめ葉陰に一日置いてから、よく晴れた日の正午に日なたに移し、3時間にわたって、光合成速度を測定した。その結果、野生型、変異体Q、および変異体Rの光合成速度は徐々に低下し、低下の程度は変異体Rが最も小さかった。
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問題
大学入学共通テスト(理科)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問144(生物(第3問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
太陽からの直射光が到達する場所の光環境(以下、日なた)に対して、葉に覆われて陰になっている場所の光環境(以下、葉陰(はかげ))は異なる。(a)植物は、このような周囲の光環境の違いを種々の光受容体により感知して、光環境に応答しながら生きている。
光環境は、細胞内での葉緑体の分布にも影響を与える。そこで、光環境を変えたときに葉緑体の分布がどのように変化するかを調べるため、実験1を行った。
実験1 日なたで生育させたシロイヌナズナを、よく晴れた日の正午に葉陰に移した(処理1)。そのシロイヌナズナを、翌日の正午に葉陰から日なたに再び移して3時間置いた(処理2)。図1はこの処理を模式的に表したものである。図2は、葉緑体の分布を観察した細胞の模式図である。また図3は、処理1を施す前、処理1終了直後、および処理2終了直後のそれぞれについて、細胞内の葉緑体の分布を模式的に示したものである。
光環境の違いにより葉緑体の分布が変化する仕組みと生理的な意味を調べるため、実験2・実験3を行った。実験1~3の結果から導かれる考察として適当でないものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
実験2 光受容体のどれか1種類を欠失した種々のシロイヌナズナ変異体に、実験1と同様の処理1・処理2を施し、葉肉細胞内の葉緑体の分布を観察した。その結果、青色光受容体であるフォトトロピンを欠失した変異体のみが、光環境の違いによる葉緑体の分布の変化を示さなかった。
実験3 シロイヌナズナの野生型と、葉緑体が細胞上面と細胞底面に分布して動かない変異体Q、および細胞の側面に分布して動かない変異体Rを、あらかじめ葉陰に一日置いてから、よく晴れた日の正午に日なたに移し、3時間にわたって、光合成速度を測定した。その結果、野生型、変異体Q、および変異体Rの光合成速度は徐々に低下し、低下の程度は変異体Rが最も小さかった。
- 葉緑体の位置の違いに関係なく野生型・変異体ともに光合成速度が低下したことから、強い太陽光は、葉緑体に傷害を与える可能性がある。
- よく晴れた日が続くときに日なたで変異体Qと変異体Rを生育させると、変異体Qの方が変異体Rよりも成長速度が大きい。
- 野生型は、日なたでは葉緑体を細胞の側面に分布させることで、強い太陽光による葉緑体の傷害を避けている。
- 葉陰以外の場所でも青色の光が弱い環境では、野生型の葉緑体は細胞上面と細胞底面に移動する。
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この過去問の解説 (1件)
01
実験2から分かることは、「フォトトロピンの光の受容によって、葉緑体の配置が変わる。」です。実験3から分かることは、「強光条件になると,葉緑体は側面の配置(変異体Rの配置)に近くなるほど、葉緑体の傷害を免れる可能あり。」です。
実験3より、変異体Q(葉緑体が細胞上面と細胞底面に固定)は変異体R(葉緑体が側面に固定)よりも光合成速度の低下が大きいです。変異体Qは変異体Rより光にあたる葉緑体の割合が大きいので、その分光による傷害を受けた、という仮説が考えられます。
変異体Qの方が変異体Rより光合成速度の低下の程度が大きいので、成長速度が大きくなることは考えられないです。
変異体Rが最も光合成の低下の程度が小さかったことから、野生型は傷害を避けていると考えられます。
実験2より、葉緑体の配置変更にはフォトトロピンによる受容が必要なことがわかっています。したがって、青色光が弱い環境ではフォトトロピンの受容による葉緑体の配置変更への指示が出にくくなっていると考えられます。
今回は実験から読み取り、植物の性質の整理的な意味を問う問題でした。この様な問題はよく出ます。誘導に乗り、細かい説明に注意を払って、持っている知識を補助的に使って正解にたどり着く練習が重要になってきます。
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