共通テスト(理科) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問134 (生物(第2問) 問5)

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問題

共通テスト(理科)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問134(生物(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読み、後の問いに答えよ。

被子植物の花では、一般にがく片、花弁、おしべ、めしべの4種類の器官(花器官)が形成される。これらの花器官の分化には(b)ホメオティック遺伝子であるA,B,およびCの三つのクラスの遺伝子が必要である。いずれのクラスの遺伝子も、花の発生に必要なほかの遺伝子群の転写を制御する(c)調節タンパク質をつくる。

下線部(c)に関連して、シロイヌナズナのホメオティック遺伝子の一つがつくる調節タンパク質Pが、別の遺伝子Qの調節領域(転写調節領域)の中にある16塩基対のDNA(以下、配列R)に結合することが分かった。この配列Rへのタンパク質Pの結合が、遺伝子Qの転写の制御に重要であるかどうかを、複数の面から検証したい。そのための解析として適当でないものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
  • 花芽において、タンパク質Pがつくられる細胞と遺伝子Qの転写が起こる細胞の分布を調べる。
  • 花器官の形成過程において、タンパク質Pの量と遺伝子Qから転写されるmRNAの量の変化を調べる。
  • タンパク質Pの機能が失われた変異体で、遺伝子Qから転写されるmRNAの量を調べる。
  • タンパク質Pをつくる遺伝子の調節領域中に、配列Rが存在するかどうかを調べる。
  • 配列Rがタンパク質Pと結合できない別の配列に変化した変異体で、遺伝子Qから転写されるmRNAの量を調べる。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題で検証したいのは配列RにPが結合することが遺伝子Qの転写制御に関係するかについてです。

つまりはタンパク質、結合配列、標的遺伝子の関係を調べます。

「P遺伝子の調節領域にRがあるか調べる」に関して、P遺伝子自身の調査であり、RやQの転写制御とは無関係になります。

他のすべての選択肢は、PとQの関係性の確認や制御の可能性、結合の重要性を示しているため、適切であると考えられます。

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02

『配列Rへのタンパク質Pの結合が、遺伝子Qの転写の制御に重要であるかどうか』は、

言い換えると『調節タンパク質Pが、リプレッサーであるかどうか』です。

 

※調節タンパク質には二種類あり、転写を促進するのが『アクチベーター』、抑制するのが『リプレッサー』です。

 

つまり、転写頻度の変化を確かめられるものが適切な検証にあたります。

選択肢1. 花芽において、タンパク質Pがつくられる細胞と遺伝子Qの転写が起こる細胞の分布を調べる。

タンパク質Pのつくられる場所と、そうでないところで、転写の有無を比較ができるから、その機能を検証できます。

 

よって正しい。

選択肢2. 花器官の形成過程において、タンパク質Pの量と遺伝子Qから転写されるmRNAの量の変化を調べる。

タンパク質Pの量の多い場合と少ない場合で、転写産物(mRNA)の量を比較できるから、その機能を検証できます。

 

よって正しい。

選択肢3. タンパク質Pの機能が失われた変異体で、遺伝子Qから転写されるmRNAの量を調べる。

タンパク質Pがない状態でmRNAの量を調べると、それが多ければアクチベーター、少なければリプレッサーと考えられ、検証として適切です。

 

よって、正しい。

選択肢4. タンパク質Pをつくる遺伝子の調節領域中に、配列Rが存在するかどうかを調べる。

配列Rの有無を確認することは、タンパク質Pの検証にはつながりません。

 

仮にこの検証の先に、配列Rのある遺伝子Qと配列Rのない遺伝子Q’を用意し、作られるmRNAの量を比較すれば、検証として正しいものになるが、本問では検証として正しくないです。

 

よって、誤りです。

選択肢5. 配列Rがタンパク質Pと結合できない別の配列に変化した変異体で、遺伝子Qから転写されるmRNAの量を調べる。

これも選択肢『タンパク質Pをつくる遺伝子の調節領域中に、配列Rが存在するかどうかを調べる。』と同じ理由で正しいです。

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03

まず、問題文を整理しましょう。

・調節タンパク質とは、ホメオティック遺伝子が作るタンパク質のこと。

・シロイヌナズナのホメオティック遺伝子の一つが別の遺伝子Qの調節領域(転写調節領域)のDNA(配列R)と結合する。

つまり、ホメオティック遺伝子とは、遺伝子Qの転写制御に重要ということです。

これをもとに、各選択肢を見ていきましょう。

 

選択肢1. 花芽において、タンパク質Pがつくられる細胞と遺伝子Qの転写が起こる細胞の分布を調べる。

これは、タンパク質Pが作られる細胞と遺伝子Qが転写されている細胞の場所が同じかどうかを調べています。

タンパク質Pと遺伝子Qが同じ場所に分布していたら、タンパク質Pは遺伝子Qに影響を与える可能性がある事が分かります。

よって、タンパク質Pが遺伝子Qに影響を与えているが検証するためにも、この選択肢は正しいと言えます。

選択肢2. 花器官の形成過程において、タンパク質Pの量と遺伝子Qから転写されるmRNAの量の変化を調べる。

mRNAとは、「メッセンジャーRNA」のことです。メッセンジャーRNAとは、DNAに書かれた遺伝子を各細胞に伝える役割です。

この花器官の実験でmRNA量を測定することで、タンパク質Pの働きが遺伝子Qをどれくらい活性化させているのかが分かります。

この選択肢では、タンパク質Pの量が増えると遺伝子Qの量も増えるのか、逆にタンパク質Pの量が減ると遺伝子Qの量も減るのか、ということを検証しています。

もし、タンパク質Pが増えると遺伝子Qの量も増える、タンパク質Pの量が減ると遺伝子Qの量も減っていたら、タンパク質Pが遺伝子Qの転写に関わっている可能性があることがわかります。

よって、この検証をすることは正しいと言えます。

選択肢3. タンパク質Pの機能が失われた変異体で、遺伝子Qから転写されるmRNAの量を調べる。

この検証では、タンパク質Pの機能が失われた状態で、遺伝子QのmRNA量がどのように変化するのかを測定しています。

つまり、遺伝子Qの転写にタンパク質Pが必須かどうかを調べているのです。

もし、タンパク質Pの機能が失われた状態でも、遺伝子QのmRNA量が変化しない場合、転写の際にタンパク質Pは必須ではないということが分かります。

逆に、タンパク質Pの機能が失われ、遺伝子QのmRNA量に変化が起きたら、転写の際にタンパク質Pが必須ということが分かります。

よって、この検証は、タンパク質Pと遺伝子QのmRNA量の因果関係を示すためにも正しい検証と言えます。

選択肢4. タンパク質Pをつくる遺伝子の調節領域中に、配列Rが存在するかどうかを調べる。

この検証では、タンパク質Pの遺伝子調節領域を調べて、その中に配列Rが存在するかを確認するものです。

ここで思い返して下さい。この検証の目的を。

「配列Rへのタンパク質Pの結合が、遺伝子Qの転写の制御に重要であるかどうか」を調べることです。

つまり、この検証の目的は、遺伝子Qの転写制御に配列Rが必要かどうかを調べたいのです。

よって、タンパク質Pの遺伝子の中に配列Rが存在するかどうかは関係がないので、この検証は誤りとなります。

選択肢5. 配列Rがタンパク質Pと結合できない別の配列に変化した変異体で、遺伝子Qから転写されるmRNAの量を調べる。

この検証では、まず遺伝子Qの調節領域にある配列Rを別の配列に変化させて、タンパク質Pが結合できない変異体を作ります。そのあとに、遺伝子QのmRNA量を測定し、配列Rが転写に必要かどうかを調べる実験です。

もし、この検証によって、mRNA量に変化があれば遺伝子Qの転写に必要、mRNA量に変化がなければ遺伝子Qの転写には不必要ということが分かります。

よって、タンパク質Pが存在しても、配列Rが無いと遺伝子Qは転写されない=配列Rは必須ということが分かり、この検証は因果関係を示す正しい検証と言えます。

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